Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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ファンドに関する規制法上の多くの規定は、専門家以外の投資家の人数が限られているファンドには適用がありません。

そのため、PEファンドは投資家の属性を確認し、専門家以外の投資家の人数が制限を超えないように注意して投資家を集めています。

日本の場合、金融商品取引法上の適格機関投資家等特例業務への該当性が問題になりますが、アメリカでも、同様に投資家の属性を確認し、専門家以外の投資家の人数を数える必要があります。それをこの前勉強したので、ノートがわりに簡単にまとめてみます。

Investment Company Act of 1940(投資会社法)は、Investment Company(投資会社)に対する規制を定めています。この法律は、投資会社それ自身に対する規制なので、日本の業者規制とは少し違いますが、ファンドがこの適用を受けると多大なコストがかかるという点では同じです。

この投資会社法は、投資会社に適用があります。そして、何が投資会社に該当するかについては、投資会社法のSection 3に定義があります。大ざっぱにいうと、投資を主たる目的とする企業(会社形態に限らない)が投資会社に該当します。

これについて、いろいろと例外が定められているのですが、人数に関して、Section 3(c)(1)と3(c)(7)に例外があります。


続きます。


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ロースクールとあまり関係ないですが、しかも当たり前のことですが、少しでも多くの人にきちんと理解してもらうために、投資事業有限責任組合と登記の関係、具体的には、登記がどういう効力をもつか、について書いてみます。

まず、3条1項柱書です。

投資事業有限責任組合契約(以下「組合契約」という。)は、各当事者が出資を行い、共同で次に掲げる事業の全部又は一部を営むことを約することにより、その効力を生ずる。

契約の効力発生について、わかりやすく書いてあります。「約する」と契約の効力発生です。

次に4条1項です。

この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

登記の効力について、わかりやすく書いてあります。対抗要件です。

本当は、ここで終わりなのですが、なんでわざわざ書くかというと、以下の点をはっきりさせたいからです。

”登記上の制約があったって、実体法上の効果は生じている。”

登記実務上許容されない(=登記できない)ことがあっても、善意の第三者に対抗できないだけで、当事者間では有効です。

第三者に対抗できないと困るから登記の事情にあわせて契約書を変えるというのはあっても、登記それ自体のせいで契約書を変更する必要はありません。

でも、実務ではこのような理屈をわかってもらえないことがあります。
困ったものです。


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2.「会社型」とは

次は、「アメリカの投信は会社型である」の意味です。

上記のとおり、米国でポピュラーな公募ファンド であるミューチュアル・ファンドには、信託形態を用いるものもあります。それにもかかわらず、「アメリカの投信は会社型である」といわれます。

日本では、契約型=投資信託、会社型=投資法人、という分け方になっているので、わかりやすいのですが、信託形態のものがなぜ「会社型」といわれるかはわ かりづらいと思います。

これは、ガバナンス体制のためです。

1940年投資会社法(Investment Company Act of 1940)では、公募ファンドはその機関として、取締役会(board of directors。会社形態の場合)又は受託者委員会(board of trustees。信託形態の場合)を有することが求められています。

そして、ファンドの重要事項については取締役会又は受託者委員会 の承認、重要度が最大級のものについては持分保有者(shareholder)の承認が必要とされており、通常の株式会社に似たガバナンス体制とされてい ます。

さらに、形式論だけですが、投資会社法の条文の建て付け上も、信託形態のものも、「投資会社(investment company)」と呼ばれ、受託者委員会のメンバーは取締役に含まれると定義されているなど、信託形態でも会社として扱うということが姿勢として示され ています。

このため、アメリカの「投信」は「会社型」といわれます。

「会社型」と「契約型」の違いは、法的な形式ではなくて、実質的な点にあります。

日本の投資信託も、ごく限られた場合ですが、受益者の承認が必要と差れる場合があるので、「会社型」としての性格も一部あるといえます。



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