Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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2010年01月

続きです。

④ ファンド運用者の取り分をファンド資産として留保しておき、最後にまとめて払う


ファンド運用者の取り分をどのように計算するかについては、①~③で見たようなバリエーションがあります。
これらとの違いは、ファンド運用者に対する支払いをせずに、ファンド資産としてキープしておくという点にあります。
この方法をとれば、取り返すということは考えなくて済みます。

6.クローバック

①’、②’、③’では、ファンド運用者から一定のお金を返してもらうアレンジになっています。これをクローバックと言います。

投資家から返金してもらうクローバックもありますが、それはまた別の話です。

この返金を確実なものにするために、いろいろなアレンジがありえます。景気が下むいてきてからは、投資家の交渉力が上がってきているはずなので、様々なアレンジが出てきているのではないかと思います。

7.その他の問題点

キャピタル・コール方式を取る場合で全額のコールが未だされていない場合にどのようなアレンジをするか、組合費用や税金の取り扱いをどうするか、などについても考えなければいけません。
場合分けをしてもキリがないので捨象しましたが、実際に契約書をドラフトするときは、実際のプロセスを想定して具体的に検討することが必要になります。


※ 書きためて日々アップしていく予定でしたが、諸事情によりまとめてアップしました。

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続きです。

③ 投資家に対して出資額相当額+一定の利益を先に支払い、それが済んでか らファンド運営者にキャリード・インタレストを支払う。それでも払いすぎとなった場合は返還する。
③’ ③
にプラスして、担 保・保証、エスクローなどの返還を確実にする方法をとる。

投資家に対して出資額相当額+一定の利益を払い終えた後に、キャリー ド・インタレストをどのように支払っていくかについてはいろいろとバリエーションがありえますが、②と同様に、ファン ド運営者に対する支払いを優先するパターンで考えてみます。
「一定の利益」が10%の場合、③及び③’での分配は以下のとおりになります。

(投資案件1)
投資家に180億円分配

(投資案件2)
投資家に120億円分配したところで出資相当額300億円の支払いが完了。残り40億円。
次に、ファンド投資家に「一定の利益」分の30億円(300億円の10%)を支払う。残り10億円。
この時点での利益が140億円なので、ファンド運営者が得られるキャリード・インタレストは計算上28億円。ファンド運営者に残りの10億円を分配。

(投資案件3)
この時点での利益が100億円なので、ファンド運営者が得られるキャリード・インタレストは20億円。
すでに10億円は支払済みなので、10億円をキャリード・インタレストとしてファンド運営者に支払う。
残り50億円を投資家に分配。

(合計)
投資家に380億円分配、ファンド運営者に20億円分配


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続きです。

② 投資家に対して出資額相当額を先に支払い、それが済んでからファンド運営者にキャリード・インタレストを支払う。それでも払いすぎとなった場合 は返還する。
②’
②にプラスして、担保・保証、エスクローなどの返還を確実にする方法をとる。

投資家に対して出資額相当額を払い終えた後に、キャリード・インタレストをどのように支払っていくかについてはいろいろとバリエーションがありえますが、ファン ド運営者に対する支払いを優先するパターンの場合、②及び②’での分配は以下のとおりになります。

(投資案件1)
投資家に180億円分配。

(投資案件2)
投資家に120億円分配したところで出資相当額300億円の支払いが完了。残り40億円。
この時点での利益が140億円なので、ファンド運営者に28億円分配し、12億円を投資家に分配。

(投資案件3)
ファンド運営者から8億円返還、投資家に68億円分配

(合計)
投資家に380億円分配、ファンド運営者に20億円分配


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続きです。

5.いろいろなバリエーション

支払い方には、いろいろとバリエーションがありますが、だいたい以下のパターンとなります。

① 利益が出る都度、プロラタでキャリード・インタレストも支払うが、払いすぎとなった場合は返還する
①’ ①にプラスして、担保・保証、エスクローなどの返還を確実にする方法をとる。

その1で書いた例にすこし事実を足して整理してみます。

(前提事実)
・投資家は合計で300億円を出資
・ファンドがその期間を終えるまで3つの投資案件を実行
・投資案件1で80億円の利益(100億円の投資で180億円のリターン)
・投資案件2で60億円の利益(100億円の投資で160億円のリターン)
・投資案件3で40億円の損失(100億円の投資で60億円のリターン)
・簡略化のため、ファンド運営者の出資、管理報酬、組合費用などは無視。

①及び①’での分配は以下のとおりになります。

(投資案件1)
投資家に164億円分配、ファンド運営者に16億円分配

(投資案件2)
投資家に148億円分配、ファンド運営者に12億円分配

(投資案件3)
ファンド運営者から8億円返還、投資家に68億円分配

(合計)
投資家に380億円分配、ファンド運営者に20億円分配


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続きです。

3.ファンド運営者は支払いを早くしたい

ファンド運営者がなるべく早く受け取りたいと思うのは明らかだと思いますが、理屈の観点からは、 Time value of moneyというのが一番シンプルな理由として挙げられます。

簡単に言うと、20億円を今日もらうのと、7年後にもらうのでは、Discount rate分だけ価値が違ってきます。

加えて、税金の観点からの視点も必要になりそうです。

すなわち、キャリード・インタレストに対する課税が譲渡所得ではなく、総合課税のほうに入ってくると、税率が一律ではなく累進課税となりますので(現在議論されています。)、ファンドの期間の終了間際にまとめて受け取ることにすると、高い税金を支払う結果になってしまいます。

4.投資家は支払いを遅くしたい

キャリード・インタレストの計算方法について、前回書きましたが、②の方法を選んだ場合、ファンドの純収益は、ファンドの期間が終わってみないとわかりません。

なので、ファンドの期間が終わるまではキャリード・インタレストは支払いたくないというのが、投資家としての立場となります。

前回の例でいえば、投資案件1と投資案件2でそれぞれ16億円、12億円を支払ってしまうと、最後に8億円をファンド運営者から取り返す必要が出てきてしまいます。


続きます。

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