Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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2010年02月

5.協調投資の手段としてのエンティティ

1.で少し触れましたが、協調投資の手段として、ファンドとポートフォリオ会社の間にエンティティが入ることがあります。

これは、純粋な「間接的な投資のためのエンティティ」ではありません。

なので、協調投資に関して定める条項の中で処理するのが適切ではな いかと思います。ここでは深入りはしません。

6.組合費用

間接的な投資のためのエンティティに関する費用は、普通は組合費用又はその他の費用に含まれるようにドラフトされていると思いますが、念のため確認が必要 です。

7.代替投資ファンド

蛇足ですが、間接的な投資のためのエンティティは、代替投資ファンド(Alternative Investment Vehicle)とは異なります。

代替投資ファンドは、投資家が本体のファンドの代わりに資金を入れるファンドです。
これに対して、間接的な投資のためのエンティティは、資金が一度本体のファンドを経由するので、代替投資ファンドには該当しません。

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(4) もう少し考える

投資家が本体のファンドでの借入れを制限した理由について考えると、解決の方向性が見えてくるのではないかと思い ます。

投資家が借入れを制限する理由は、自らが投資した資金のリスクを下げたいという点にあると思います。

一方で、ポー トフォリオ会社での借入れまでを禁止したいかというと、そこまでは禁止は不要だと考える投資家が多いのではないでしょうか。

これは、直感的にみて、ポートフォリオ会社での借入れを禁止するのは、Too muchであるということがあると思います。

これに加えて、投資家自身が認識しているかは少し疑わしいですが、さらにもう1点、大事な点があります。

ポートフォリオ会社レベルでの借入れであれば、ファンド自体の損失は当該ポートフォリオ会社の株式に投資した金額が上限となりますが、ファンド自身の借入であれば、その損失はファンド全体に及ぶことになります。

この点は、本質的な差であると言えると思います。

(5) それでどうすべきか

一案なのですが、上記の投資家の意思に鑑みると、有限責任が確保されるか否かで分けたら良いのではないかと思います。

この案では、以下のような有限責任が確保される場合には、間に入るエンティティによる借入れが許容され、そうでない場合には本体のファンドと同様に借入が制限されることになりま す。

①間に入るエンティティが会社であり、ファンドはこの株式を取得する
②間に入るエンティティが投資事業有限責任組合であり、 ファンドは有限責任組合員として投資する
③間に入るエンティティがリミテッド・パートナーシップであり、ファンドはリミテッド・パートナーとして 投資する
④間に入るエンティティ(基本的に何でも良い)に、いろいろ工夫してNoteの形で投資する

これを契約書に落としこむのは、そんなに難しくはないと思います。
ただし、間に入るエンティティの使い方にはいろいろとバリエーションがあるので、後々困らないようにドラフトしておくことを心がける必要があります。



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4.投資制限、借入・保証制限

間接的な投資に使われる エンティティについても、本体のファンドに課されている投資制限や借入・保証制限が及ぶかも問題になります。以下は、議論の簡略化のため、借入れに絞って論じます。

(1) 直感(?)に従った方向性

当該エンティティの使用が手段であることからすると、本体のファンドに課されている制限は当然に及ぶ必要があるように思われます。

例えば、間に入るエンティティが借入れを行うことを許容すると、結局ポートフォリオ会社への投資にレバレッジがかかることになります。これでは、契約書に制限を規定した趣旨を損なうことになりかねません。

そこで、間に入るエンティティについても借入等に関する制限を契約書に定めるということが考えられます。

(2) ポートフォリオ会社の借入れは可能

投資先の会社(ポートフォリオ会社)は、ファンド契約によって借入れを禁止されるものではありません。

契約書で、借入れの大きい会社への投資を制限したり、 ファンド運営者に対してポートフォリオ会社の借入れを一定の範囲内に維持する義務を課したりすることもできなくはないですが、通常はそこまでのことはしないと思います。

また、ポートフォリオ会社での借入れよりも、間に入るエンティティによる借入れの方が実務上簡単な場合がありますので、これを許容したほうが、ファンド運営者と 投資家双方にとって望ましいこともありうると思います。

この点を重視すると、間に入るエンティティについては、特に制限を加えないというのもありうるかもしれません。

(3) 実務的な落とし所?

この点が明示されている契約書は少ないのではないかと思います。

実務的には、ファンド運営者は、「その他ファンドの目的達成のために必要な一切の行為」を行う権限が与えられており、これに依拠して、間に入るエンティティでの借入れをすることもあるのではないかと思います。

「その他ファンドの目的達成のために必要な一切の行為」に含まれるかどうかは、投資家の意思に反しているかどうかが実務的な判断の基礎になると思います。


続きます。


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2.ファンド運営者の競業制限との関係

ファンドの運営者をファンドの運営に注力させるという目的で、契約書では、ファンドの運営者が他の エンティティの運営にかかわることを基本的に禁止しています。

これとの関係を注意する必要があります。

間接的な投資に使 うエンティティに対してのサービスの提供が制限されることは、ファンド運用者も投資家も基本的には望んでいないはずなのですが、個別の投資について反対し たい投資家が出てこないとも限らないので、注意して契約書を作成する必要があります。

3.投資対象

パートナーシップを新 たに作成して間に入れる場合には、ファンドへの投資がポートフォリオ会社への投資のための手段であることが明確ですが、既存の会社を使う場合、それ自体が ポートフォリオ会社に該当するのではないかという疑義が出てくる可能性があります。

とくに、協調投資家がいる場合には、当該会社自体が JVでないかという疑いが強まってきます。

また、そのまま持株会社となって実質的に機能してしまうことがあると、さらに疑いが強まりま す。

そのため、この点を明確にしておくことが理想的なのですが、ポートフォリオ会社の定義に明確に落とし込むのはなかなか難しいと思いま す。

常識の範囲で判断できないことも無いのですが、できる範囲で明確にしておく努力はしたいところです。「ポートフォリオ会社と は、・・・・・・。疑義のないように付言すると、ポートフォリオ投資のために用いられる間接的なエンティティは含まない。」というのが(文言はもう少し 練った方がよいと思います。)、今のところ思いつくアイデアです。


続きます。
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投資ファンドがポートフォリオ会社(投資対象の会社)に投資をする際には、ポートフォリオ会社の株式を直接に保有する方法のほか、間に一定のエンティティを入れて間接的に投資することがあります。

間にエンティティを入れる理由については、当該エンティティがパートナーシップか会社化によっても異なりますが、大雑把に言うと、①証券法・業法などによる規制上の理由、②税金上の理由、③責任を遮断するための理由、④事務処理の簡便化の理由(ポートフォリオ会社に対する窓口をひとつにするという理由も含む。)、などがあると思います。

この投資を行うにあたっての契約書での手当について、整理してみます。

1.間接的な投資を認める条項

まず、なによりも間接的な投資を認める条項が必要です。これがないと、間接的な投資ができません。

契約書には、投資目的や投資対象が定められますが、間接的な投資のためのエンティティは、大抵の場合、この投資目的や投資対象には含まれません。

契約書では、「その他ファンドの目的達成のために必要な一切の行為」が可能であるとの規定が設けられることが一般的ですが、明示しておいた方が疑義がなくて良いと思います。


続きます。

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