Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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2010年03月

(3) ETFは上場しているけど投資信託

投資信託として組成されているETFも上場していますが、これはETFの性格上ガバナンスの必要度が低いといえます。すなわち、現行のルール上はETFは 指標に連動することを目的とするものに限られており、ガバナンスの必要はかなり低いといえます。

アメリカにおいても、指数連動型のETFについては、Boardをもたないユニット・インベストメント・トラストの形態をとられるものもメジャーです。

3.会社形態は?

法人税法上、投資法人だけではなく会社全般に対して特別措置を認めることも、選択肢としてはありえたと思います。

アメリカの内国歳入法では、普通の会社でも適格要件を満たせば特別措置を認めています(というか特別のエンティティがないだけですが)。

にもかかわらず投資法人を使ったのは、投信法の枠内に留めたほうが投資を集められそうという判断があったのではないかと思います。

すなわち、日本ではこれまで公募ファンドとしては投資信託が主流であり、投信法による規制を受けてきました。この枠組から外してしまうと、投資家(主に日本)が不安に思うおそれがあります。ただの法人型ですよ、としたほうが個人投資家に売りやすいのは確かだろうと思います(繰り返しますがREITは個人投資家狙いの度合いが高い商品です。)。

また、会社を特別措置の対象にしてしまうと、これまでおとなしく税金を払ってきた不動産事業を営む会社をどうするかについても考えなければいけなくなります。当時そこまで問題を広げる必用はたぶんなかったので、投資法人でやろうということになったのだと思います。

4.まとめ

本当にこんな検討をしたかはわかりませんが、投資法人を選択したことについては合理性があったと思います。

ただし、導入後しばらくたった現状を踏まえて、再度検討した方が良いのではないかとは思っています。本当にガバナンスが足りているのか、逆に費用の割にあまり芳しくないのか、研究者であれば検証してみたいところです。


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(2) JREITは上場している

JREITは取引所に上場している点が伝統的な投資信託と異なります。
これによってガバナンスの必要度が上がるでしょうか。

私は、上がると考えています。

取引所に上場する場合、日本国内のみならず海外の投資家からの投資についても考える必要が高まります。そして、海外の投資家を考えた場合、ファンドにガバナンスが効いているというのは、安心して投資できるかどうかという点から重要になってきます。

公募ファンドの最大の市場はアメリカですが、ここでは公募ファンドには一般的にガバナンスが効いています。

証券に投資するミューチュアルファンドはその法形態にかかわらず投資会社法の下でのガバナンスが効いています。不動産に投資するREITも会社形態で設立されるものは通常の会社として(特別なエンティティはない。)ガバナンスが効いています。

なので、世界の投資家は、ガバナンスがあるファンドに馴染みがあり、ガバナンスがないと身構えてしまうことが想定されます。特に REITの場合には小口の投資家の割合が高いので(大口投資家は不動産自体に直接投資することができる。)、馴染みのありそうなエンティティを選ぶ要請は高いと思われます。

したがって、上場することでガバナンスの必要度は上がります。


続きます。


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2.投資信託で足りる?

我が国では、JREIT登場まで、投資信託が公募ファンドのエンティティとしての地位をほぼ独占していました。そ のため、投資家に馴染みのある投資信託が良いのではないかという意見は強かったのではないかと思われます。

(1) 投資対象の違い

JREITの投資対象は、伝統的な投資信託とは異なります。

直感的には、不動産に投資するファンドは、有価証券に投資するものと比べてガバナンスの必要度は高まるように思われます。

論理的に説明するのは難しそうですが、有価証券と比べて分散度合いが低く、ハズレた場合にデカイというのはありうるのではないでしょうか。

また、私の直感的がある程度理解を得られるものだとすると、投資家の信頼という意味でやはりガバナンスが必要となるのだと思います。


続きます。


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JREITはなぜ投資法人を使うか。

他にも使いうるエンティティはあるのですが、JREITは投資法人というエンティティを選択しています。

当事者ではないので本当のところはわかりませんが、この理由を考えてみました。

1.税法上の理由?

すぐに思いつく理由としては次のものがあります。
「租税特別措置法67条の15を使う以上は投資法人しかありえない。」

JREIT導入時には税制上の手当もあわせて検討したはずなので、租税特別措置法は理由になりません。必要があれば、租税特別措置法上の手当がされていたはずです。

当時の法律まで確認していませんが、現行法を前提とするならば、投資信託を使った場合、法人税法上集団投資信託に該当し、法人課税信託にならないのではないかと思います(条文をさっと見ただけなので、自信はありません)。


続きます。


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第6 Regulation S

募集や売付けに該当する行為がSection 5で規制されているが、海外での行為がこれに該当するかについてRegulation Sがある。

1. 発行者等の場合(Rule 903)

(1) 外国の発行者で、アメリカで取引が少ない(no substantial US market interest)場合、海外でのみ行われる募集(overseas directed offering)など

①Offshore transactionであること
②販売努力(Direct selling efforts)がないこと

(2) 報告会社である外国の発行者のエクイティ及びデットの場合、非報告会社である外国の発行者のデットの場合

①Offshore transactionであること
②販売努力(Direct selling efforts)がないこと
③募集制限(offering restrictions)を順守すること(Rule 902(g)に定義あり)
④40日の譲渡制限期間(distritubion compliance period)
⑤譲渡制限期間の告知

(3) その他の者

①Offshore transactionであること
②販売努力(Direct selling efforts)がないこと
③募集制限(offering restrictions)を順守すること(Rule 902(g)に定義あり)
④デットの場40日、エクイティの場合1年間の譲渡制限期間(distritubion compliance period)
⑤譲渡制限期間の告知

2. 発行者等でない場合(Rule 904)

(1) 基本要件

①Offshore transactionであること
②販売努力(Direct selling efforts)がないこと

(2) ディーラーの場合の追加条件
③相手方が米国人であることを知らないこと
④相手方に譲渡制限期間の告知

(3) 役員・取締役の場合の追加条件
③ブローカーに通常の手数料以上を支払っていないこと

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