Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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2010年06月

つぎに、マーケットメーカーの責任について。

指定アドバイザーは、市場に売り手しかいなかった場合には買い手になって市場に流動性を供給する義務を負います。NYSEにも、このような役割を負う者がいて、DMM(designated market maker)と呼ばれます。

マーケットメーカーの収益の構成要素をビッド・アスク・ スプレッドの構成要素 その1その2にいろいろ書いたのですが、取引量が十分に確保されないと収益を確保することは難しくなります。

取り扱う取引量が少ないと、スプレッドを大きくしないと収益を確保できませんが、重複上場の場合、本国の市場にも流動性供給者がいます。そして、本国の方 が流通量が大きいということであれば、本国の流動性供給者との競争にはほとんど勝ち目がなさそうです。

こうなると、流通量が少ない→スプレッドが大きくなる→流通量がさらに減る→スプレッドがさらに大きくなる、という市場の失敗のスパイラルです。

本国の市場と裁定取引を中心にして流動性を供給するということも考えられますが、本国の市場でも売り一色であれば、どうなるんでしょうね。

また、本国にマーケットメーカーのような者がいない場合、日本の指定アドバイザーだけが買い手としての義務を負うことになるので本国からも流動性を求めて東京にやってきたりしたら、指定アドバイザーの被害甚大ですよね。


ニュースを見て1時間かそこらで考えをまとめただけなので、理解が間違っていたり、内容に不十分だったりするかもしれませんが、そのときは優しく教えてください。


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重複上場ではない場合、国内でただ単に私募(私売出し)をする場合との対比になります。これは、指定アドバイザーにフィーを支払う負担と、TOKYO AIMに上場することのメリットを考えて、単なる私募と比較してどうかという問題になってきます。

一番重要なのは、TOKYO AIMに上場した場合の流動性と、上場しなかった場合の適格機関投資家間の流通市場での流動性にどれくらいの差があるか、だと思います。これに大きな差がないとすると、費用対効果で見た場合、上場しないほうが正解ということになりそうです。指定アドバイザー制度というのが有意的な差をもたらすという設計になっているのかもしれませんが、この問題点については次のエントリで。

また、どうせアンダーライターにフィーを支払うのであれば、「東証一部 上場」という看板を得た方が得だという考え方も大いにありうると思います(参考:なぜIPO初値は 高い方がよいか)。

この場合、継続開示の負担と「東証一部上場」という看板との費用対効果の検討になります。実質的に引受審査といえるようなものが済んでしまっているのであれば、もはや継続開示はそこまで重たい負担でもないような気がします。


続きます。
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まず、アンダーライター(引受人)+アルファの責任について。

TOKYO AIMを使ったとしても、結局、公募と同じような上場審査が必要になってしまうのだと、指定アドバイザーに払うフィーは大きくならざるをえず、上場企業にとっての魅力が減ってしまいます。

NYSEとかLSEとかからの重複上場であれば、本国でもアンダーライターがいるはずなので、そこをある程度信頼した形での制度設計ができたりするといいのかもしれませんが、執行可能性の面などで難しいのかもしれません。

日本市場よりも魅力が低い市場からの重複上場であれば、このコストを負担してもなおメリットがあるかもしれません。資本市場は今ひとつな国に魅力的な企業があれば、東京にやってきてくれるかもしれません。

でも、ニューヨークやロンドンではなく東京に来てもらうためには、何かメリットがないと難しいですよね。それってあるんでしょうか。


続きます。

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東証プロ市場、開設1年で上場ゼロというのがニュースになっていました。

TOKYO AIM詳しい説明は他に色々あるので省略しますが、要は「プロ」の投資家だけが参加出来る市場です。一般投資家保護のための煩わしい規制がないというのがメリットです。

ざっくりと言うと、公募じゃない(これに関連する規制がない)のに流通市場が確保されていて素晴らしい、ということを目指しているのだろいうと思います。

プロ向けということで規制が緩いかわりに、「指定アドバイザー(J-Nomad)」というのがゲートキーパーとしての役割を努めます(説明はこちら)。

信頼できる証券会社が指定アドバイザーに指定されるので、投資家としては、指定アドバイザーがきちんと監督していることを信頼して取引することができます。そのため、この制度は、市場における情報の非対称性についての疑心暗鬼を軽減し、投資家が安心して取引できることを確保するものといえます。

しかし、記事では、この指定アドバイザー制度が結構負担なために上場が進まないと書いてあります。

確かに、アンダーライター(引受人)+アルファの責任と、マーケットメーカーの責任というのは、結構重たいと思います。

次回以降、問題点として考えたことをつらつらと書き連ねてみます。


続きます。

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続きです。

(適用)
この事案の場合、短期譲渡所得と通常所得の合計2100が、Section 1260により長期譲渡所得として扱われることになります。

そ して、applicable federal rateが10%なので、
      x*1.1+x=2100
      x=1000
となり、1年目に1100、2年目に1000が割り付けられます。

1年目に1100を認識せず、支払うべき税金を支払わなかった(とみなさ れる)ので、その金額に利子が課されます。まず、適用税率が20%なので、
      1100*0.2=220
となり、220の税金を支払うべきだったということになります。

これにSection 6601のレートをかけると
     220*5%=11
なので、11が利子として税金に追加されます。

これは損益の発生した実際のタイミングは問いません。例えば、ヘッジファンドが1年目に 2500の損失をだし、2年目に5000の利益をあげたとしても、その事実は無視されます。この例では、現実には1年目には認識すべき利益は全くないにもかかわらず、追加の11は支払わなければなりません。

なお、Section 1260は、所得の性質を変換しようという納税者の努力を否定するものですが、このデリバティブ取引にはまだ大きなメリットがあります。

デリバティブ取引を使った場合、1年ごとに損益を認識せず、デリバティブ取引期間中の損益を相殺することができます。

ヘッジファンドが定期的に同額の利益を上げていれば具体的なメリットはありませんが、利益を出す年と損失を出す年がある場合には、損失の繰延べの限定による不利益を回避することができます。


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