Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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2010年09月

ミューチュアル・ファンドの関連当事者で一番大事なのは、インベストメント・アドバイザー(Investment Advisor)です。

1.投資助言者としての役割

インベストメント・アドバイザーの第一の役割として、ファンドに対して投資助言を与える役割が挙げられます。

インベストメント・アドバイザーは、ファンドの全般的なポートフォリオ運用に責任を負います(ただし、サブアドバイザーを任用することもできます。)。原則として、投資判断はインベストメント・アドバイザーに一任され、ファンドの役員や取締役はこの判断に介入することはできません。

登録投資会社のインベストメント・アドバイザーやサブアドバイザーは投資顧問法(Investment Advisers Act of 1940)の下での登録が求められます。

2.スポンサーとしての役割

投資助言に加え、インベストメント・アドバイザーは、ミューチュアル・ファンドのスポンサーとしての役割を担うことが典型的です。

スポンサーの役割というのは、一定のコンセプトのもとでファンドを組成することにあります。具体的には、投資目的、投資方針及び投資戦略の定めたり、州法下でのファンドの組成し、法律上必要な手続き関係(登録、届出)をケアしたり、ファンドの立ち上げ資金(seed capital)を提供したりします。

3.その他のサービス提供

この他にも、インベストメント・アドバイザーは、ファンドにサービスを提供しています。

ファンドによって異なりますが、ポートフォリオ・プライシング・サービスや会計サービス(純資産額の計算を含む。)の他、機関運営関連のサービスを提供したりしています。

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前に書いたとおり、ミューチュアルファンドは、州法に基づき設立されます。

多分どの州で設立することも可能なんでしょうが、メリーランド州法のコーポレーション(corporation)の形態をとるものと、マサチューセッツ州法のビジネス・トラスト(business trust)の形態をとるものが一般的です。

会社形態のものは、株主(shareholder)の有限責任が確保されている点、取締役会を有する点に特徴があります。

メリーランド州法に基づく会社は、?株式の償還が可能である点、?メリーランド州にはcorporate franchise tax(会社の純資産に基づき課される州税)がない点、?会社法がミューチュアル・ファンドに望ましいものとなっている点でメリットが有るため、多くのミューチュアル・ファンドがメリーランド州での設立を選択しています。

信託形態のものは、受託者委員会(board of trustees)により統治されます。(だから信託でも”会社型”と言われます。こちらこちらで書いたとおりです。)

信託宣言で許される場合、受益者の承認を得ることなく受託者がほとんどの行為(受益権を発行を含みます。)をすることができます。

ビジネス・トラストは、州法上、受託者の責任を忠実義務(duty of loyalty)以外の信任義務(fiduciary duty)違反に限定することが許されていたりしますが、投資会社法によりそのような限定は結局制限されています。

ビジネス・トラストの場合、持分保有者又は受託者の有限責任が明示的に認められているわけではないので、無限責任の潜在的なリスクは存在します。

しかし、デラウエア州のスタチュトリー・トラスト(statutory trust)であれば、会社と同様に有限責任が認められている。

なお、ビジネス・トラストとスタチュトリー・トラストとは、何がどう違うかよくわかっていなかったので、これを調べるのも留学のひとつの課題でした。調査結果ですが、名前が違うだけということで理解しておけばとりあえずOKみたいです。法律が違う以上当然違いはあるんでしょうが、大きなコンセプトは変わりません。

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投資会社法の条文上の区分について。

投資会社法Section 4は、投資会社について以下の3つの類型を定めています。
  • 決まった金額の支払いを約束する証書を発行する額面証書会社(Face-amount certificate company)
  • ユニット・インベストメント・トラスト
  • 上記二つの類型に該当しないマネジメント・カンパニー (Management company)
さらにマネジメント・カンパニーは、販売・解約を行うかどうかによって以下の二つに分けられます(Section 5)。
  • オープンエンド・カンパニー(Open-end company)
  • クローズド・エンド・カンパニー(Closed-end company)
マネジメント・カンパニーのうちオープンエンドカンパニーに該当するものが、ミューチュアル・ファンドと呼ばれます。ミューチュアル・ファンドとして定義されているわけではありません。


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投資会社法について、少し詳しく見ます。

なにが投資会社に該当するかについては、投資会社法のSection 3が定めています。

有価証券に投資するミューチュアル・ファンド、ユニット・インベストメント・トラスト及びクローズド・エンド・ファンドの場合、Section 3(a)(1)(C)の「主として有価証券に投資を行う事業を行い又は行おうとする有価証券の発行者であって、当該発行者の総資産の40%を超える額を投 資有価証券に投資し又は投資しようとする者」に該当します。したがって、投資会社法の投資会社に該当し、同法の規制を受けます。

ここで、「投資有価証券」(investment securities)については、Section 3(a)(2)に規定があり、アメリカ政府等による保証の付された有価証券などの所定の有価証券を除く全ての有価証券をいうとされています。

投資会社法Section 3の(b)及び(c)は、投資会社法からの除外事由として多くの項目を列挙していますが、ミューチュアル・ファンド、ユニット・インベストメント・トラスト及びクローズド・エンド・ファンドは、通常これらの除外事由には該当しません。

なお、投資会社の定義に該当したとしても、投資会社法Section 6の除外事由に該当する場合には、登録義務などは適用されません。典型的な公募ファンドだとあまり重要でもありませんが、Section 6に該当すかどうかがコスト等の結果を大きく左右するので、ものによっては大事な条文ではあります。


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ミューチュアルファンド、ユニット・インベストメント・トラスト及びクローズド・エンド・ファンドは、投資会社法(Investment Company Act of 1940)の投資会社(investment company)として登録を受けることが必要とされ、同法の規制を受けます。

また、その発行する持分(share)については、証券法 (Securities Act of 1933)及び取引所法(Securities Exchange Act of 1934)の規制も受けます。

これらのファンドが取引所に上場し取引所で取引される場合、ETFと呼ばれることになるのですが、特別な規制が適用されます。ただし、取引所に上場するファンドのうち、商品に投資するものはETV(Exchange Traded Vehicle)と呼ばれ、投資会社法ではなく別個の規制を受けます。

不動産に投資をするファンドであるREITも投資会社法の適用を受けません。税法上の特別扱いが認められており、内国歳入法に従った運営が行われている。

日本だとファンドは投資対象に関係なく基本的に投信法でカバーされるのですが、アメリカの場合は投資会社法の適用範囲は狭目になっています。

投資会社法の「会社」の意味については、こちらこちらを参照。

なお、各エンティティは、州法に基づき設立され、州法による規制を受けます。なので、ガバナンス関係などはまず州法に従う必用があります。投資会社法は、州法上規律されているエンティティにさらに規制をかけるという性格を持ちます。


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