Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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2010年10月

3.投資先に関する規制

(1) 他の投資会社への投資

投資会社法Section 12(d)(1)では、他の投資会社の有価証券の購入について制限を課しています。具体的には、以下のとおりです。
  • 他の投資会社の議決権持分を3%を超えて取得することはできない
  • 自らの総資産の5%を超えて他の単一の投資会社に投資することはできない。
  • 自らの総資産の10%を超えて他の投資会社に投資することはできない。
ただし、投資会社法Section 12(d)(1)(G)では、所定の要件を満たすことを条件として、同一のファンド集団内の他の投資会社についての投資を例外的に認めています。

(2) 保険会社への投資

投資会社法Section 12(d)(2)では、保険会社の発行する有価証券を取得することは、議決権の10%以上を保有することとなる場合又は25%以上を保有する場合でないを除き、許されないとされています。

ただし、Section 12(g)に例外が定められています。

(3) 証券関連事業への投資

投資会社法Section 12(d)(3)は、ミューチュアル・ファンドがブローカー、ディーラー、引受の事業を行う者又は投資会社のインベストメント・アドバイザーもしくは投資顧問法の下で登録済みのインベストメント・アドバイザーの有価証券を取得すること原則として禁止しています。

ただし、Section 12(e)に例外が定められています。

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ミューチュアル・ファンドの運用行為に関する規制としては、分散性(Diversification)に関する規制、流動性に関する規制、及び投資先に関する規制があります。

1.分散性に関する規制

ミューチュアルファンドは、分散型(diversified)と非分散型(non-diversified)に分けられます。投資会社法Section 5(b)に規定があります。

分散型のファンドに該当するためには、総資産の75%が、現金及び現金項目(債権=receivablesを含む)、政府証券、他の投資会社の有価証券及び他の発行者の有価証券に投資されることが必要です。また、総資産の5%超を単一の発行者に投資することができず、また、単一の発行者の発行済有価証券の10%超を保有することはできません。

2.流動性

ミューチュアル・ファンドは、一定の緊急事態が発生した場合を除き、7日を超えて解約請求権の停止又は解約金の支払もしくは解約の実行の延期を行うことはできません(Section 22(e))。

そのため、ミューチュアル・ファンドとしては、解約に応じることができるよう流動性を確保することが必要となります。

そこで、SECは、非流動資産の総保有量について制限を課しています。非流動資産はファンドの純資産の15%(MMFファンドの場合10%)を超えてはならないとされています。

ここで、非流動資産とは、通常の事業の過程において7日以内に、およそファンドが投資した際に評価した価値で売却その他の処分ができない資産をいいます。


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主たる引受人との契約についてです。

ミューチュアル・ファンドの関連当事者については以前まとめましたが、そこには主たる引受人は出てきませんでした。

主たる引受人とは何かについて、投資会社法Section 2(a)(29)に定義があります。本人としてミューチュアル・ファンドから持分を購入する引受人、及びファンドの代理人として、ディーラー又は公衆に対してファンドの持分を販売する引受人がこれに該当します。

主たる引受人との契約についてはSection 15(b)に規定があり、形式面で以下の要件を満たす必要があります。
  • 書面によって締結されること
  • 譲渡(assignment)があった場合には自動的に終了する旨を定めていること
また、Section 15(b)は、承認要件として、締結の日から2年以上の効力を有する場合には、取締役会又は持分保有者の議決権の過半数によって年に一度以上承認されることが必要とされています。

加えて、Section 15(c)は、利害関係者でない投資会社の取締役の過半数が、その目的により招集された、取締役が実際に集まって行われる(in person)会議において、契約の条件及び更新を承認することを求めています。


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最後に留意事項をいくつか。

1.投資家の人数制限

ファンドに関連して行う業務が適格機関投資家等特例業務に該当するためには、ファンドに出資する投資家の人数制限を遵守する必要があります。

適格機関投資家が1名以上いなければならないことはすでに書きましたが、これに加えて、適格機関投資家以外の投資家が49名以下であることが必要です。

これを超えてしまうと、適格機関投資家等特例業務に該当せず、金融商品取引業としての登録が必要になります。

投資家にファンドが含まれる場合、そのファンドの投資家も原則として人数計算に含める必要があるなど(←条文構造的には不正確な表現。)、かなりテクニカルなので、専門家に相談することが望ましいと思います。

2.適格機関投資家

誰が適格機関投資家に該当するかについては定義があります。プロの投資家と評価できそうな者でも、この定義に当たらない限りは適格機関投資家ではありません。

たとえば、ウォーレン・バフェット個人は適格機関投資家以外の投資家です(バークシャー・ハサウェー社はきちんと見てないので不明)。

適格機関投資家は何人いても、適格機関投資家等特例業務該当性を損ないません。

3.譲渡制限

適格機関投資家等特例業務に該当するためには、ファンド持分に、法令で求められる譲渡制限が付されていなければなりません。

きちんと契約書に書いておく必要があります。

4.外国関係

日本に本拠を置くファンドであれば、外国の投資家も、基本的に上記の人数計算に含める必要があります。

外国籍のファンドは、日本における活動形態にいろいろとパターンがあり、それに応じて規制が異なってきます。これは機会があれば別途まとめますが、場合分けが面倒なので可能性は低いかも。


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6.投資家と交渉しながら契約書を作っていく

ファンド=組合契約なので、投資家全員が納得してサインできるような契約書を作っていくことになります。

基本的には、先にタームシートを使って条件を決めてから契約書のドラフトをしたほうが手間が少なくて済みます。

ただし、投資家からの要請をほとんど聞くつもりがない場合には、いきなり契約書を提示してしまうという方法もありえます。

タームシートを使って条件を詰めていく場合は、項目の漏れを作らないことが重要です。マーケット・スタンダードだと思ってタームシートに入れなかった項目について、あとで大問題となることもあります。

ロイヤーが関与する意義は、ネガティブな事態の想定に長けているという意味で、結構大きいのではないかと思います。

あと、1対多数の契約交渉になるので、どの条件をどの程度頑張るかについて1対1の契約とは異なった配慮が必要になってきます。

6.投資活動の仕組みを作る

ファンド組成後は、投資活動が何よりも必要です。この投資活動が上手く回るように段取りをつけておくことが必要です。

ヘッジファンド的な投資をするのであれば、ブローカーとのアレンジをどうするかを詰める必要がありますし、実物資産に投資をするのであれば必要な許認可があるかもしれません。

また、資産や帳簿の管理などバックオフィス系のアレンジも詰めておく必要があります。

7.契約書を締結する

契約書へのサインです。これによりファンドが成立します。

投資事業有限責任組合であれば登記が必要になります。前に書いたとおり、投資事業有限責任組合は契約締結により成立します。登記は対抗要件でしかありません。

これにて出来上がりです。

投資家による出資は、契約書の規定にしたがって粛々と進めてください。

もう少しだけ続きます。

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