Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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2010年11月

4.分配テスト

規制された投資会社として税制の優遇を受けるためには、収益の大部分を投資家に対して分配する必要があります。

細かく規定されていますが、大雑把に言えば、投資会社の課税所得の90%、非課税利子所得の90%を投資家に対して分配する必要があります(Section 852(a))。

5.効果

(1) ファンド自体の課税

ファンド自体は法人税の対象となります。

ただし、Section 561の控除適格である分配は所得から控除することができるため、投資家に対して分配することにより連邦所得税を免れることができます。

分配されない場合、残った所得については、通常の会社と同様のレートで法人税が課されます。

98%以上を分配しないと、ファンドはSection 4982に基づく消費税(excise tax)(原則として4%)を払う必要があります。そのため、通常は98%以上を分配しています。

(2) 投資家の課税

ファンドからの分配金は、会社からの配当と同様に、原則として(=earnings and profitsがあれば)、通常所得(ordinary income)の配当(dividend)として課税されます。

分配金については、適格分配所得(qualified dividend income)という制度があり、これは2010末までは譲渡所得と同様に15%で課税されていますが、まもなく失効して、通常のレート(所得に応じ最大 39.6%←これも2011以降。)で課税されます。

純長期譲渡所得(net long-term capital gain)が純短期譲渡損失(net short-term capital loss)を上回る額については、ファンドは、譲渡所得配当(capital gain dividend)として指定することができます。投資家は、ファンドの持分の保有期間にかかわらず、この所得を長期譲渡所得として扱うことができます。

地方政府債券に投資するファンドの場合、非課税利子配当(exempt-interest dividend)という制度もあります。

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ミューチュアル・ファンドは、内国歳入法 Subchapter Mの下、特別な取り扱いがなされています。

ミューチュアルファンドは内国歳入法Section 851の規制された投資会社(regulated investment company。RICと略されます。)として、所定の要件を満たす場合には、通常所得(ordinary income)及び投資家に分配される純実現譲渡所得についての連邦所得税が免除されています。

1.選択

ファンドが、登録投資会社として課税されることを選択すること(Section 851(b)(1))。

2.90%総収入テスト

ファンドの当該課税年度の総収入の90%以上が以下から発生していること(Section 851(b)(2))。
•    配当
•    利子(非課税利子を含む)
•    有価証券貸借取引(Section 512(a)(5)とSection 1058の要件を満たすものに限る。)から生じる所定の支払い。
•    有価証券もしくは外貨の販売その他の処分から生じる譲渡益又はファンドの有価証券又は通貨に対する投資に関して生じるその他の所得(オプション、フューチャー、フォワードの譲渡益を含むがこれに限らない。)
•    適格公衆取引パートナーシップ(qualified publicly traded partnership)の持分から生じる純収入

3.分散テスト(Diversification)

ファンドの課税年度における各四半期の最終日現在において、所定の分散投資がなされていること(Section 851(b)(3))。
具体的には以下の要件を満たしていることが必要です。

(1) ファンドの総資産の50%以上を以下に投資していること。
i    現金、現金項目(債権を含む)、米国政府証券及び他の規制された投資会社の証券。
ii    他の有価証券。ただし、単一の発行者への投資がファンドの総資産の価値の5%超とならないこと、発行者の議決権の10%超を保有しないことが条件。

(2) ファンドの資産の25%超が以下の資産に投資されないこと。
i    米国政府及び他の登録投資会社の有価証券を除いた単一の発行者の有価証券
ii    ファンドが支配し、同様の事業を営む2以上の発行者の証券
iii    1以上の適格公衆取引パートナーシップの有価証券

(1)iiと(2)iの要件がこれだけ見れば少しわかりづらいですが、ステップをふんで検討していけば難しくありません。たとえば、単一の発行者の発行す る証券にファンドが資産の25%を投資していたとしても、残り75%が分散投資されていれば、(1)iiとしてカウントはされませんが、(1)の要件を満 たします。

上記の判定を行うに当たってのルールは、Section 851(c)に規定があります。たとえば、議決権の20%以上を保有していれば「支配」ありとされます。

なお、この分散テストに満たない四半期があった場合でも、ファンドは、前四半期において分散テストを満たしており、かつ当該違反が、当該四半期中の有価証 券の取得によるものではない場合には、分散テストを満たしているものとして取り扱われます。またこれを満たさなくとも、当該違反が四半期終了後30日以内 に解消されるた場合には、分散テストを満たしているものとして取り扱われます(Section 851(d))。

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2.私募ファンド

私募ファンドの場合、流通市場の利用可能性は低いですが、基本的な枠組みは公募ファンドと近いといえます。

典型的なヘッジファンドの場合、上場株式に投資をするため、投資対象の流動性が高いといえます。ですので、3ヶ月に1回といったタイミングで解約することが認められます。

他方、バイアウト・ファンドなどは、投資対象の流動性がきわめて低いので、解約は基本的に認められません。

ただし、投資回収方法として、譲渡が認められる場合があります。もっとも、公募に該当しないように譲渡制限が付いているのが一般的なはずです。また、適格機関投資家等特例業務との関係でも譲渡制限が付いていたりします。

なお、アメリカではファンド持分をセカンダリーで買い集めるファンドというのが結構流行っているみたいです。体力さえあれば結構いいビジネスなんじゃないかと思います。日本でも流行る(or流行ってる)んでしょうかね。

3.まとめ

ファンドの類型により投資回収方法が異なるのですが、これは”※※ファンドだから☆☆じゃないとだめだ”というものではありません。投資家の要請に応えるべく、可能な範囲で広く投資回収を認めていくというのがあるべき姿勢です。

もちろんマーケット慣行に従ったほうが楽というのもあるかもしれませんが、不景気の中では”投資回収にも配慮しています”というのも売りにできるのではないかと思ったり。

弁護士的な観点から言えば、早い段階から議論に参加させてもらえれば、こういった提案も可能になるのでうれしいのですが、費用対効果との関係もあってそんなに簡単ではないですよね。議論に早い段階から参加させてもらえる弁護士に育っていきたいものです。


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ファンドからの投資回収方法についてです。今回は公募ファンドと私募ファンドを横断的に。

ファンドにはいろいろ種類があり、ファンドの種類によって投資回収の容易さが異なります。

1.公募ファンド

非上場の公募ファンドの場合、毎日解約可能とされているものが多いのではないかと思います。
日本だと投資信託、アメリカだとミューチュアル・ファンドがこれにあたります。

上場の公募ファンドの場合、解約は制限されていても証券取引所で譲渡することにより、投資回収が可能です。
例としては、REITやETFが挙げられます。

なぜ上場する公募ファンドと上場しない公募ファンドがあるのでしょうか。

一番メインの理由は、投資対象の流動性の違いです。

上場株式に投資するのであれば、取引所での処分が可能なので、日々の解約に対応することができます。

不動産に投資するものの場合、処分が容易ではないので解約対応は困難になります。ETFの投資対象は基本的に流動性の高いのですが、指数に連動させるETFの場合、指数に連動するように処分しないといけないため、細かい解約には対応できません。そのため、流通市場で投資回収ができるようにと上場することが選択されます。

金ETFなどは、金だけに投資しているので細かく売買できそうですが、保管・運搬のコストとかを考えると、やはり流動性は高くない方に分類されるんでしょうね。

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1. コンプライアンス方針及びコンプライアンス手続き

投資会社法Rule 38a-1及び投資顧問法Rule 206(4)-7は、登録済みのファンド及びアドバイザーに対して、それぞれ、連邦証券法の違反を防ぐため、書面によって、コンプライアンス方針及びコンプライアンス手続きを定めることを求めています。

書面による方針及び手続きは、ファンドの取締役会(独立取締役の過半数を含む。)により承認されることが必要とされています。

また、コンプライアンス方針及びコンプライアンス手続きは年に一度以上見直されることが必要とされています。

2.チーフ・コンプライアンス・オフィサー

投資会社法Rule 38a-4は、各ファンドに対して、コンプライアンス方針及びコンプライアンス手続きの実行に責任をもち、潜在的な利益相反を監視するチーフ・コンプライアンス・オフィサー(Chief Compliance Officer、CCO)の選任を義務付けています。

CCOの選任及びCCOの報酬はファンドの取締役会(独立取締役の過半数も含む。)で承認される必要があり、CCOの解任はファンドの取締役会による行動及び承認によってのみ終了可能とされています。

CCO は、年に一度以上、取締役会に対して、以下の事項を記載した書面による報告書を提出する必要があります。
-ファンド及び各サービス提供者(インベストメント・アドバイザー、主たる引受人、アドミニストレーター、トランスファーエージェント)による方針及び手続きの運用
-方針及び手続きについて少なくとも年に一度なされる見直し以降の重要な変更
-前回の報告からのコンプライアンスに関する重要な出来事

また、CCOは、年に一度以上、独立取締役とCOOだけで会議を持つことが義務付けられています。

CCOの独立性を担保するため、ファンドの役員、取締役、従業員若しくはそのアドバイザー、主たる引受人、又はその指示により行為する者が、CCOに対して不適切な働きかけを行うことは禁止されています。



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