Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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2010年11月

3.組合員総会

多数決で決める事項については、書面による同意を集めれば足りるする方法のほか、組合員総会を開催して決議する方法もあります。

組合員総会の手間とコストを考えれば、書面だけで済ませたほうがGP、LPともに幸せなのではないかと思います。もっとも、LPの属性によっては開催したほうがよい場合もあるでしょうし、総会といっても組合員の数も限られているのでコスト等も膨大とまではいえません。

投資家とのコミュニケーションという意味で、年次総会を開催して投資家に1年の活動を報告する、というのもありえます。しかし、これは契約書に書かないと開催できないというものでもないので、任意にやれば足りるかもしれません(この費用がファンド負担となるような条項を入れるのを忘れないように注意が必要です)。

あとは、出資の少ない投資家への配慮をどうするかという点があります。少数投資家に他の投資家を説得する機会を提供するという意味では、総会を開催したほうが望ましいといえます。投資家が十分集まるようなファンドであれば、このような少数投資家への配慮は小さくなりますが、投資家を集めるのに苦労する場合、少数投資家への配慮も大きくなります。

組合員総会を開催するのであれば、その招集方法、定足数、決議に必要な賛成、その他手続き的なことをすべて契約書で規定する必要があります。

4.アドバイザリー・ボード

必ずしも組合員の多数決で決める必要がない事項であっても、独立性を有する者のチェックが必要である場合があります。

典型的には、GPによる利益相反取引が挙げられます。また、ファンド資産の純資産額を決定する場合にも(決定の必要性がある場合についてはこちらを参照)、GPに利益相反があるのでアドバイザリー・ボードが利用されることがあります。

また、組合員の多数決の代替のような役割を担ったり、監査的な役割を担ったりすることもあります。

アドバイザリー・ボードの構成員は、LPのうちの何名かが任命されるのが通常です。会社の取締役とは異なり、組合員の多数決で選任されるものではなく、全組合員の代表として行動する責任は負わないのが通常と思われます。


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PEファンドのガバナンスは、会社法のような法律上の詳細な規制はなく、契約によって規律されます。

契約書には、組合員の多数決、組合員総会、アドバイザリー・ボードなどについて規定されることがありますが、これはガバナンスに関係するものです。

ガバナンスの規定は、要は、GPとLPの間の権限分配に関するものですので、その視点から捉えていくことが重要です。

1.資産運用行為と内部的管理行為

まず、資産運用行為と内部的管理行為を分けて考える必要があります。

ファンド資産の運用行為はGPに委託され、LPは原則として口を出すことはできません。LPが資産運用に管理すると、その有限責任性が失われたりします。

他方、キーパーソンの変更、契約条項の修正など内部的な管理行為については、契約書によって権限が分配されます。

2.多数決と独立性

権限分配に当たっては、ファンドの構成員全員にとって重要なものは多数決で決定し、日常のことはGPに決定権を与えるというのが原則となります。

多数決については、決定すべき事項の重要性に応じて必要な賛成の割合が決定されます。ファンドの本質にかかわることであれば組合員全員の賛成またはこれに近い割合の賛成が必要とされます。他方、契約書の軽微な修正はGPが単独で行えることとしたほうがGP・LPともに幸せだと思います。

必ずしも組合員の多数決で決める必要がない事項であっても、GPに利害関係があるなど独立性を有する者のチェックが必要である場合があります。この場合には、アドバイザリー・ボードを利用することも考えられます。

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2.半期ごとの報告

ミューチュアル・ファンドは、Form N-SARによるセミアニュアル・レポートを、各半期終了後60日以内にSECに提出することが義務付けられています(Rule 30b1-1)。記載内容は詳しく列挙しませんが、財務情報その他の情報を含む必要があります。

3.四半期ごとの報告

ミューチュアル・ファンドは、投資会社法Rule 30b1-5に基づき、第一四半期及び第三四半期の終了後60日以内に、費用、ポートフォリオ投資、運用成績などを記載したForm N-QをSECに提出することが義務付けられています。

4.持分保有者への報告

Rule 30e-1は、ミューチュアル・ファンドに対して半期に一度以上財務諸表その他の情報を含んだレポートを提供することを義務付けています。アニュアルレ ポート、セミアニュアルレポートという形で提供されるのが原則ですが、ミューチュアル・ファンドの場合、目論見書とSAIの提供で代替することもできます (Rule 30e-1(d))。

4.Form N-CSR

Rule 30e-1に基づく持分保有者への報告がなされた場合、ミューチュアル・ファンドは、SECに対して、当該レポートを含む一定の情報を記載した報告書をForm N-CSRにより提出する必要があります(Rule 30b2-1)。

5.委任状説明書(proxy statement)及び委任投票(proxy voting)

委任状の勧誘に関しては、Rule 30b1-4に規定されており、ミューチュアル・ファンドは、Form N-PXにより投票に関する完全な記録を毎年SECに提出することが義務付けられています。また、要求があった場合には、投資家にも提供する必要があります。

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ミューチュアル・ファンドの持分発行時の開示については、前に書きましたが、今回は継続開示についてです。

1.目論見書のアップデイト

ミューチュアル・ファンドは通常継続して募集されますので、勧誘には目論見書が使用され続けます。

目論見書がRegistration Statementの効力発生後9ヶ月を超えて使用される場合、アップデイトが必要となります。目論見書に含まれる情報は、使用時点から16ヶ月以内の情報である必要があります(証券法Section 10(3))。また、その他重要な変更がある場合には、アップデイトしないと目論見書の虚偽記載又は欠落が問題になってしまいます。

Registration Statement効力発生後に行われる修正の効力発生については、証券法Rule 485が適用されます。修正の効力は、Rule 485(a)(1)により、原則として提出後60日(または60日以降80日以内で当事者が指定する日)に自動的に効力発生します。

ただし、新しいシリーズを追加する場合には、Rule 485(a)(2)により、提出後75日(又は75日以降95日以内で当事者が指定する日。)に自動的に効力を発生します。

重要な変更がない場合(財務情報の変更のアップデイト、ポートフォリオマネージャーの変更を含む。)、Rule 485(b)により、直ちに(または当事者が指定する30日以内の日)に効力が発生します。


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ミューチュアル・ファンドがその持分を販売、解約又は買取する場合、原則として、「現在の純資産額」(current net asset value)に基づく価格で行うことが求められます(投資会社法Rule 22c-1(a))。

「現在の純資産額」の計算頻度は投資会社法Rule 22c-1(b)が規定しており、原則として、月~金の1日1回以上、取締役会の定めた時間に計算されます。

「現在の純資産額」の計算方法はRule 2a-4に規定があります。原則として、ポートフォリオ証券のマーケットクオテーションがすぐに利用可能(readily available)なときは現在の市場価格(current market value)を使い、すぐに利用可能ではないときは、誠実にファンドの取締役会によって決定された公正価格(fair value)を使用することが求められます。

投資会社法Rule 38a-1では、コンプライアンス・プログラムの採用が求められているのですが、その中では、ファンドが公正価格の使用を必要とする状況を監視する指針及び手続きを定めること、特定のポートフォリオ証券についていつマーケット・クオテーションが信頼できないものとなるかを決定する基準を設定すること、現在のポートフォリオ証券の公正価格を決定する方法を定めること、そして定期的に適切さと正確性を見直し、必要な調整を行うことが必要と考えられています。

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