Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
Biz Law Hack本館はこちら。http://bizlaw.ldblog.jp/

2011年02月

3.開示書類の交付義務

コモディティー・プール・オペレーターは、原則として、潜在的投資家に対して、投資契約(subscription agreement)を提供するのと同時かこれに先立って、開示書類(Disclosure Document)を提供し(CFTC Regulation 4.21(a))、全米先物協会に提出する(Regulation 4.26(d))必要があります。

開示書類に記載すべき内容についてはRegulation 4.24及び4.25に規定がありますが、ざっくりといえば、コモディティ・プールに関する情報、コモディティ・プール・オペレーターに関する情報、コモ ディティ・プール・アドバイザーに関する情報を記載する必要があります。

この開示書類については、コモディティ・プール・オペレーターは、潜在的投資家より開示書類の受領に関するacknowledgementを取得する必要があります(Regulation 4.21(b))。

ただし、ETVについてはノーアクションレターが出されており(上記のアカウント・ステートメントに関するものと同一のレター。)、一定の条件の下、当初のファンド持分の購入者又は認定参加者の公衆に対する販売については、開示書類の交付は不要としています。

4.禁止行為

Regulation 4.20は禁止行為について定めており、ファンド資産の分別管理などを規定しています。

また、Section 6o(1)は、取引所ルール10b-5のように、詐欺的行為などを禁止しています。

5.帳簿書類の作成保存

Regulation 4.23は、帳簿書類の作成保存について定めています。

作成保存すべき帳簿書類には、コモディティ・プール自体に関するものとコモディティ・プール・オペレーターに関するものがあります。これらの書類は、一部の例外を除き、投資家からの閲覧・謄写に供し、又は投資家の費用において投資家に対して写しを送付しなければなりません。

これらの書類は、全米商品先物取引委員会の要請があった場合には、写し又は原本を提出する必要があります(Regulation 1.31)。

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

コモディティ・プール・オペレーターに関する規制として主要なものは以下のとおりです。

1.登録

コモディティ・プール・オペレーターは、商品取引所法に基づき登録を行う必要があります(同法Section 6m)。

Section 6nやCFTC Regulation 3.10が登録手続きについて定めていますが、登録申請者は全米先物協会に対してForm 7-Rを提出するほか、プリンシパルについてForm 8-Rを提出する必要があります。

プリンシパルについてはCFTC Regulation 3.01(a)にあり、ややこしい定義となっていますが、たとえばコモディティ・プール・オペレーターが法人の場合、取締役、社長、CEO、COO、CFO、商品先物事業担当部長のほか、10%以上の株式をを保有する者などがこれ含まれます。

また、コモディティ・プール・オペレーターの勧誘業務に関連する関連者(associated person)も登録が必要となります(Section 6k、Regulation 3.12)。

2.報告義務

(1) 月次及び四半期報告

コモディティ・プール・オペレーターは、原則として、投資家に対して少なくとも四半期に一度(純資産が500,000ドルを超える場合には月に一度)、損益計算書(Statement of Income)及び純資産変動表(Statement of Changes in Net Asset Value)を含むアカウント・ステートメント(Account Statement)を提供する必要があります(Regulation 4.22(a)(b))。

ただし、全米商品先物取引委員会スタッフは、ETVについて、月次のアカウント・ステートメントがコモディティ・プール・オペレーターによりweb上で開示されることを条件として、投資家に直接交付されることは必要ないというノーアクションレターを出しています(こちらを参照)。

(2) 年次報告

コモディティ・プール・オペレーターは、原則として、会計年度終了後90暦日以内に、投資家に対して年次報告書を提供する必要があります(Regulation 4.22(c))。

年次報告書は、全米先物協会を通じてCFTCにも提出される必要があります。

上記のアカウント・ステートメントに関する救済措置は、年次報告書には適用がありませんので、Webサイトに開示したとしても投資家に対する交付が必要とされます。

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

ETVの関連当事者としては、以下のような者が挙げられます。

1.コモディティ・プール・オペレーター

コモディティ・プールにとって最も重要な関連当事者は、コモディティ・プール・オペレーター(commodity pool operator)です。

これについては、商品取引所法Section 1a(5)が定義しており、商品に関するデリバティブ取引を行うために投資家を勧誘する行為又は資金を受領する行為を事業として行う者がこれに該当します。

2.商品取引アドバイザー

次に重要な関連当事者として、商品取引アドバイザー(Commodity trading advisor)が挙げられます。

商品取引アドバイザーは、Section 1a(6)に定義されており、商品先物取引・商品オプション取引に関しての投資助言を与えることを事業として行う者がこれに該当します。

投資会社でいうところのインベストメント・アドバイザーに相当する役割を果たし、商品取引所法の下で商品先物取引委員会による監督に服します。

コモディティ・プール・オペレーターは、コモディティ・プールのために商品先物取引・商品オプション取引を商品取引アドバイザーに委託せず自ら行うことできますので、商品取引アドバイザーのいないコモディティ・プールもあります。

3.先物取引業者

先物取引業者(futures commission merchants)も関連当事者として挙げられます。

先物取引業者は、Section 1a(20)に定義されており、商品にかかるデリバティブ取引の注文の勧誘又は受諾を行う者及びこれに関連して証拠金等を受領する者がこれに該当します。

投資会社で言うところのブローカー・ディーラーに相当する役割を果たし、コモディティ・プール・オペレーターは、先物取引業者を通じて商品先物取引・商品オプション取引を行います。

先物取引業者もまた、商品取引所法の下で商品先物取引委員会による監督に服します。
    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

1.ETVとは何か

ETVとは何かについて前に書きましたが、要するにコモディティに投資するファンドです。投資対象は多岐にわたり、貴金属や原油などに投資しています。

金に投資するETVの場合、カストディアンがファンドのために金の延べ棒を保有しています。

原油の場合、運搬・保管コストが高いため、ETVは原油に直接投資することはせず、原油の先物取引を行っています。この場合現物での設定・解約は不可能なので、現金による設定・解約が行われています。

2.法規制の概要

商品に投資するファンドは、証券に投資するものではないため、投資会社法による規制は受けません。

ただし、持分の公募・市場取引については証券法・取引所法が適用されSECによる規制を受けます。

商品先物取引や商品オプション取引を行うETVは、それらの取引が付随的なものにとどまるとしても、コモディティ・プール(commodity pool)として商品取引所法(Commodity Exchange Act)の規制を受け、商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission)及び全米先物協会(National Futures Association)の監督を受けます。

商品先物取引委員会はSECに相当する機関で、全米先物協会はFINRAに相当する自主規制機関です。

商品取引所法の主たる規制対象は、ファンドそのものではなく、コモディティ・プール・オペレーター(commodity pool operator)です。

3.コモディティ・プール

コモディティ・プールとは、商品に投資する集団投資スキームのことを言います。「プール」の意義については、CFTC Regulation 4.10(d)(1)に定義があります。

投資会社の定義では、有価証券への投資が「主たる」ものかどうかを問題としていますが、コモディティ・プールについては、商品先物取引委員会は、商品先物取引や商品オプション取引がファンドの主たる目的でなくてもこれに該当するとしています。


    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

ファンド契約書の課税額分配(Tax Distribution)についてです。

訳語について自信がなかったのでググって見ましたが、日本語でこれに関する説明は見当たりませんでした。もしかしたら本邦初かも??

組合は課税上パススルー・エンティティとして扱われますので、組合型のファンドでは、手元に現金が来ない段階で所得を認識すべき場合があります(関連する法人税基本通達はこちら。)

特に、キャリード・インタレストの支払いを留保される場合(キャリード・インタレストの支払い方については前にまとめました→)、ファンド運営者(GP)にとっては、この問題は切実だったりします。

この場合に対応するため、ファンド契約書に課税額分配(Tax Distribution)が定められる場合があります。

これは、ざっくりといえば、ファンドがファンドの構成員に対して納税すべき金額を分配するという規定です。

ファンド構成員すべてを対象とする場合もあれば、ファンド運営者(GP)のみを対象とする場合もあります。

これは、ファンドの建付けとして、所得認識とキャッシュ・フローの問題が誰に生じるかによって異なってきます。

この問題がファンド運営者のみに発生する場合にはファンド運営者のみを対象とし、ファンド構成員すべてに発生する場合はファンド構成員すべてを対象とします。

分配資金の出所ですが、キャリード・インタレストの支払いを留保していることが原因であれば、キャリード・インタレストの前払いという形になると思います。

ファンド構成員全般の問題である場合、キャピタル・コールで資金を得ることを認めるパターンのほか、手元資金の範囲でのみ分配可能とするパターン、借り入れを行うパターンなどがありえます。

課税額分配をどうやって支払うか、支払った後はどうやって処理するか、などいろいろ考慮すべき点がありますが、投資家の属性などによって具体的に処理を検討する必要があります。

このページのトップヘ