Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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2011年04月

4.キーパーソン条項をトリガーさせない工夫

キーパーソンにファンドを離れるつもりがなくても、人生何がおきるかわかりません。予期せぬ事情によって不本意にキーパーソン条項をトリガーしてしまうことは避けたほうが賢明です。

また、キーパーソンがファンドを離れるときには、キーパーソンがいなくなっても問題ない状況になっている可能性もあります。

そこで、キーパーソン条項をなるべくトリガーさせない工夫をしておくことが必要です。

ファンド契約書の変更によってあらかじめキーパーソンを変更する方法なども考えられますが、必ずしもファンド契約書の変更の手続きよりも簡便な方法のほうが望ましいこともあります。また、時間的な余裕がないこともあります。

まず、トリガー自体を回避する方法としては、アドバイザリー・ボードの承認によりキーパーソンを変更可能とするアレンジがありえます。

また、キーパーソンがファンドを離れてから一定の猶予期間経過後にキーパーソン条項がトリガーされるというアレンジもあります。この場合、猶予期間中にキーパーソンの変更などを対処することとなります。

このほか、キャピタルコール条項トリガーの効果のうち、軽いものだけはすぐに発生するとし、重たいものは一定期間経過後に発生するというアレンジもあります。これによって、重要な効果が不本意に発生することを避けることができます。

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3.キーパーソン条項トリガーの効果(PEファンドの場合)

投資家としては、キーパーソンがファンドを離れてしまった場合、ファンドの活動をストップさせる必要があります。変な人に自分の大切なお金の運用を任せることはできません。

もっとも、ファンドの活動をストップさせるといっても、いくつか選択肢があります。

(1)キャピタルコールを一時凍結する

資金を追加的に出資するのは危険すぎるので、これをストップする方法です。

凍結を解除する方法も決めておく必要があります。ファンド構成員の一定割合以上の承認などを凍結解除事由とする方法などが考えられます。

(2)投資活動を凍結する

出資された資金を使って行う投資活動をストップする方法です。

キャピタルコールから投資までの間にキーパーソンがいなくなった場合をカバーします。
目利きがすんでいる状態なので、ここまでストップする必要があるかは要検討です。案件をストップすることで契約相手方(株式の売主など)に違約金を支払う必要が出てくる可能性もあるので、慎重な検討が必要です。

ただし、キャピタルコールで得た資金を投資活動以外に充てることができてしまう場合には、資金を変に使われてしまう可能性もあるので注意が必要です。

凍結解除方法を決めておく必要については(1)と同様です。

(3)投資期間の終了

一時凍結ではなく、投資期間自体終了してしまい、新規のキャピタルコールや投資活動をストップする方法です。

この方法だと、キーパーソン条項がトリガーされた場合、ファンドは投資対象の保持・売却のみを行うことになります。

投資期間が終了により管理報酬が減額されるアレンジがなされている場合、キーパーソン条項のトリガーにより管理報酬が減額されます。

キャピタルコールをしてしまった投資については例外的に投資可能とするアレンジもありえます。

上記(1)または(2)による一時凍結後、凍結解除できずに一定期間経過してしまった場合、この(3)の効果が生じるというアレンジもありえます。

(4)ファンドの解散

キーパーソンがファンドを離れてしまったらすぐに資金を返してほしいということもあると思います。ハンズオンファンドの場合、重要な役割を担う人がいなくなってしまったら、投資対象の価値向上は見込めないと考える投資家もいると思います。

この場合には、キーパーソン条項の効果としてファンドの解散を規定します。あるいはファンドからの脱退権が発生すると規定することもできます。

とはいえ、流動性の低い資産に投資している場合、ファンドの解散やファンドからの脱退を認めることは投資対象の資産としての価値をさらに下げることになりかねませんので、このような規定を設けることには慎重になったほうがよいと思います。


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2.誰がキーパーソンか

まず、誰がキーパーソンかを定める必要があります。

目利きをする人は、基本的に余人をもって代えがたい性格のものなので、この人がキーパーソンであることはそんなに難しくありません。

ハンズオン担当者の場合は少し微妙です。

余人をもって代えがたいほどの活躍をする人というのはそんなに多くありません。ある程度の分散投資がされるのであれば、重要な役割を果たすハンズオン担当者も複数いるはずです。

このハンズオン担当者全員をキーパーソンとしてしまうと、やや厳しすぎるきらいがあります。

たとえば、重要な人が5人いる場合に、そのうち1人が何らかの 理由で辞めることはそんなに稀なことでもありません。また、1人辞めても残りの4人でカバーできることも多いと思われます。

そのため、以下のようなアレンジがされることがあります。
  • 余人をもって代えがたい人を1st Tierのキーパーソンとする。
  • 複数のハンズオン担当者を2nd Tierのキーパーソンとする。
  • 1st Tierのキーパーソンの辞任は、直ちにキーパーソン条項のトリガーになるとする。
  • 2nd Tierのキーパーソンの辞任は、一定割合を超えた場合にのみキーパーソン条項のトリガーになるとする。

3.キーパーソン条項トリガーの効果(PEファンドの場合)

投資家としては、キーパーソンがファンドを離れてしまった場合、ファンドの活動をストップさせる必要があります。変な人に自分の大切なお金の運用を任せることはできません。

もっとも、ファンドの活動をストップさせるといっても、いくつか選択肢があります。

(1)キャピタルコールを一時凍結する

資金を追加的に出資するのは危険すぎるので、これをストップする方法です。

凍結を解除する方法も決めておく必要があります。ファンド構成員の一定割合以上の承認などを凍結解除事由とする方法などが考えられます。

(2)投資活動を凍結する

出資された資金を使って行う投資活動をストップする方法です。

キャピタルコールから投資までの間にキーパーソンがいなくなった場合をカバーします。
目利きがすんでいる状態なので、ここまでストップする必要があるかは要検討です。案件をストップすることで契約相手方(株式の売主など)に違約金を支払う必要が出てくる可能性もあるので、慎重な検討が必要です。

ただし、キャピタルコールで得た資金を投資活動以外に充てることができてしまう場合には、資金を変に使われてしまう可能性もあるので注意が必要です。

凍結解除方法を決めておく必要については(1)と同様です。

(3)投資期間の終了

一時凍結ではなく、投資期間自体終了してしまい、新規のキャピタルコールや投資活動をストップする方法です。

この方法だと、キーパーソン条項がトリガーされた場合、ファンドは投資対象の保持・売却のみを行うことになります。

投資期間が終了により管理報酬が減額されるアレンジがなされている場合、キーパーソン条項のトリガーにより管理報酬が減額されます。

キャピタルコールをしてしまった投資については例外的に投資可能とするアレンジもありえます。

上記(1)または(2)による一時凍結後、凍結解除できずに一定期間経過してしまった場合、この(3)の効果が生じるというアレンジもありえます。

(4)ファンドの解散

キーパーソンがファンドを離れてしまったらすぐに資金を返してほしいということもあると思います。ハンズオンファンドの場合、重要な役割を担う人がいなくなってしまったら、投資対象の価値向上は見込めないと考える投資家もいると思います。

この場合には、キーパーソン条項の効果としてファンドの解散を規定します。あるいはファンドからの脱退権が発生すると規定することもできます。

とはいえ、流動性の低い資産に投資している場合、ファンドの解散やファンドからの脱退を認めることは投資対象の資産としての価値をさらに下げることになりかねませんので、このような規定を設けることには慎重になったほうがよいと思います。

4.キーパーソン条項をトリガーさせない工夫

キーパーソンにファンドを離れるつもりがなくても、人生何がおきるかわかりません。予期せぬ事情によって不本意にキーパーソン条項をトリガーしてしまうことは避けたほうが賢明です。

また、キーパーソンがファンドを離れるときには、キーパーソンがいなくなっても問題ない状況になっている可能性もあります。

そこで、キーパーソン条項をなるべくトリガーさせない工夫をしておくことが必要です。

ファンド契約書の変更によってあらかじめキーパーソンを変更する方法なども考えられますが、必ずしもファンド契約書の変更の手続きよりも簡便な方法のほうが望ましいこともあります。また、時間的な余裕がないこともあります。

まず、トリガー自体を回避する方法としては、アドバイザリー・ボードの承認によりキーパーソンを変更可能とするアレンジがありえます。

また、キーパーソンがファンドを離れてから一定の猶予期間経過後にキーパーソン条項がトリガーされるというアレンジもあります。この場合、猶予期間中にキーパーソンの変更などを対処することとなります。

このほか、キャピタルコール条項トリガーの効果のうち、軽いものだけはすぐに発生するとし、重たいものは一定期間経過後に発生するというアレンジにより、重要な効果が不本意に発生することを避けるという方法もあります。

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1.キーパーソン条項が必要となる理由

投資ファンドには、投資対象に対する目利きが必要はファンドと、目利きが不要なファンドがあります。

目利きが必要なファンドの典型としては、バリューファンドが挙げられます。

目利きが不要なファンドの典型としては、指数連動型ファンドが挙げられます。

PEファンドも基本的に割安の会社を探して投資するので、目利きが必要なファンドに該当します。

また、ヘッジファンドも、投資態様によりますが、割安または割高な投資対象を探して投資(空売りを含む)するので、目利きが必要なファンドに該当します。

このような目利きが必要なファンドにとっては、ファンドマネージャーの目利き力が投資成績に直結します。

なので、投資対象を選ぶ人が誰かというのが、ファンドにとって非常に重要になります。

また、ハンズオン型のファンドの場合、ハンズオンに関与する人も重要です。投資対象会社の企業価値をあげることができるかどうかは、この人の力量しだいで決まります。

これらの人がファンドから離れてしまっては、ファンドの成功に暗雲が立ち込めてきます。

これらの人が個人としてファンド運営者(GP)となっていれば、ファンド契約内のGPの辞任に関する規定で対応するのできます。

しかし、目利き人がGPの一構成員(役員、従業員、パートナーなど)に過ぎない場合、契約で別途規定する必要があります。

このための契約条項がキーパーソン条項です。この規定により、GP構成員の変動も制限することが可能になります。

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(4)キャピタルコールのための通知期間

ファンド構成員は支払通知の後一定の期間で出資をする必要がありますが、この期間についても慎重に検討する必要があります。

期間の長さだけではなく、期間の起算点も考慮する必要があります。

キャピタルコールがなされるのは、ファンドとして投資機会がある場面なので、ファンドの構成員が実際に支払通知を知った時点を起算点とすることは現実的ではありません。支払通知の発送時点を起算点とするのが一番手堅い選択肢です。

出資約束を果たせない場合には債務不履行の責任が発生しますので、ファンド構成員としては慎重に検討する必要があります。

個人で投資する場合、長期の海外旅行などもありえますので、適時に出資できるようにアレンジしておくことが必要です。

(5)出資の受領確認

ファンド運営者が出資金の受領したことを証明するため、ファンド契約書で受領確認について定めることもあります。

(6)出資約束金額の減額

出資約束金額は、ファンド構成員がファンドに対して出資を約束する金額ですので、ファンド構成員としては出資する準備をしておかなければなりません。

ファンドとして投資するあてがなさそうな場合に減額請求できるようアレンジしておくと、無駄に出資の準備をしなくてすみます。

また、管理報酬が”出資約束金額の一定割合”と決まっている場合、出資約束金額の減額が減少にもつながります。

(7)出資義務の不履行

前に検討したとおりです(その1その2その3)。

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