3.金商法2条2項5号と6号は組合型ファンドに限らない

組合型以外のファンドが金商法2条2項5号と6号の要件を満たすことがある、というのはあまり意識されていないのではないかと思います。

確かに、金商法2条2項5号は、典型的には組合型のファンドを想定した規定であり、組合に関する法律がいろいろ列挙してあります。

しかし、金商法2条2項5号には、その後ろに「社団法人の社員権その他の権利」とはっきり書いてあります。なので、組合型ファンドに限られません。

金商法2条2項5号に該当するためには、組合型かどうかは重要ではなく、(i)金商法2条1項または2条2項(5号を除く)に該当しない権利であること、(ii)出資対象事業から収益の配当または財産の分配を受ける権利であること、という要件を満たすかどうかが重要です。

たとえば、株券が金商法2条2項5号の適用外なのは、”株式会社は組合ではない”ということではなく、株券が金商法2条1項9号に規定され、(i)を満たさないからです。

投資信託の受益証券が金商法2条2項5号の適用外なのは、”投資信託は組合ではない”ということではなく、投資信託の受益証券が金商法2条1項11号に規定され、(i)を満たさないからです。

4.蛇足

こういう点はまじめに条文を読めばわかることですが、慣れてくると危ういかもしれませんので注意が必要です。

会議中に若手弁護士が条文を参照しているのは、こういう点を確認している可能性があります(やってない若手は確認しましょう。)。そして、多くの場合は安心して終わりなので、その点に関して何も言いません。

クライアントなどからは”イロハのイも知らないで”というように見えるかもしれませんが、条文とか基本書とかを毎回きちんと見ておくのは必要な作業だと思います。分かった気になっていると大きな間違いが起きる可能性があります。

何でも知っている顔をしている”大先生”が好きな人もそれなりにいるのですが、基本から積み上げてきちんと仕事をする点を評価してもらえるようになるといいですね。