サイドレターについては前にまとめましたが、この条項としてよく用いられるのが最恵国待遇(most favored nation)条項です。

サイドレターはファンド運営者と投資家との間で個別に締結されるものなので、その内容は他の投資家に対する効力を持ちません。

しかし、投資家は、自らのサイドレターに最恵国待遇条項があれば、他の投資家が勝ち得た条件の適用を求めることができます。

1.最恵国待遇条項に関する手続きについて

最恵国待遇条項がある場合、他の投資家の締結したサイドレターの開示が必要となります。そうしないと他の投資家が勝ち得た条項を知ることができません。

開示すべきタイミングについては、最終クロージング後と決めておくことが実務的に重要ではないかと思います。途中で開示してしまうと、収拾が付かなくなる可能性があります。

そして、開示後に、他の投資家の勝ち得た条項について、自らにも適用を求めるかを選択する手続きを設けることが必要です。投資家によっては適用を望まない条項もあるので、どの条項が適用されるかについて明確にしておく必要があります。

また、手続きの明確化の観点から、一定期間内に書面によって請求しないと権利が失効する旨を定めておくことが望ましいと思われます。