4.ファンド運営者への信頼喪失と出資義務不履行

出資義務不履行の理由としては、資力がない場合のほか、ファンド運営者への信頼がなくなった場合もあります。

基本的に、他の投資家が自らの都合で不履行を選択できるとファンドの目的達成に支障がでるので、不履行に対しては懲罰的なサンクションを設けるのですが、ファンド運営者への信頼がなくなった場合を想定すると異なった考慮も必要となってきます。

たとえば、ファンド運営者に背任的行為があり、投資家としてはもはや資金を預けたくない場合には、不履行に対して厳しいサンクションは望ましくありません。

また、ファンド運営者が出資義務の不履行を発生させるようなキャピタル・コールを行うことで、ファンド運営者の解任やファンドの解散など阻止するできるような状況も防ぐ必要があります。

この問題は、どちらかというとキャピタル・コールの制限で対処するのだと思いますが、万が一を想定して契約書を作成するのは必ずしも容易ではありません。

5.出資義務不履行による影響とその対応

出資義務不履行の影響は小さくありません。

キャピタル・コールが投資案件が成約した後になされるという運用の場合、資金不足により投資案件の実行ができなくなる可能性があります。

債務の弁済や費用の支払いのためのキャピタル・コールであれば、ファンド自身の債務不履行が発生してしまいます。

ファンドオブファンズの場合にはさらに厳しい結果が予想されます。投資先のファンドから懲罰的なサンクションが課されてしまうと、ファンド全体に対する被害が甚大です。

この結果を避けるために、タイムリーに資金を調達できるようにしておく必要があります。考えられる方法としては以下のようなものがあります。
  • 一定割合を流動性の高い資産に投資する
  • 金融機関との間でリボルビング・ローン契約を締結しておく
  • 短期の通知で出資義務が発生する緊急用キャピタル・コールを設定する