アメリカ公募ファンドについての記事の濃度が上がってきたので、私募ファンドも少し。

ファンド契約の修正条項に関してです。

ファンド契約は構成員全員の合意によって修正するのであれば特に問題はありませんが、投資家の数が少なくない場合、構成員全員の合意によって修正するというのは現実的ではありません。

そのため、ファンド契約には修正規定がおかれます。

契約書を修正したい理由にはいろいろとバリエーションがあるので、その理由に応じて手続きにバリエーションを設けるの例が多いのではないかと思います。

大雑把に言うと、以下のようになると思います。
  1. ファンドの根本にかかわる修正は全員の合意が必要
  2. 超重要な修正は絶対多数(3分の2とか4分の3とか)の同意が必要
  3. 重要な事項の修正は過半数の合意が必要
  4. 軽微な修正はファンド運営者の独断
契約条項がどの程度重要かについては、判断が難しいことも多く、「○条を変更するには、、、、。」といったように具体的に条項を列挙するなど明確に定めておくことが望ましいといえます。

4については、たとえば、誤字の訂正はこれに該当します。また、LPに不利益を及ぼさない場合もファンド運営者の独断で決めるとすることもできますが、これに該当するかどうかの判断は微妙なことも多く、このような規定があったとしても慎重な判断が求められます。

なお、ファンド契約の修正は当事者も多く実務的になかなか大変なこともあるので、問題のない条項についてはなるべくファンド運営者の判断に委ねるという考え方も重要だと思います。

また、上記の1から4のほかに、必ずしも構成員の多数決で決める必要がないものの、独立性を有する者のチェックが必要である場合(利益相反など)には、アドバイザリー・コミッティの関与は有力な選択肢になると思います。

変更の手続きについては、投資家による書面による同意を求めることが一般的ではないかと思いますが、ファンド運営者の通知後一定期間内に異議がなければ変更、というアレンジもありえます。