ミューチュアル・ファンドに対するレバレッジ規制については前に書きましたが(こちらを参照)、クローズド・エンド・ファンドにもレバレッジに関する規制があります。

1.発行するシニア証券と優先株

投資会社法Section 18(c)では、クローズド・エンド・ファンドの場合、「負債を表象するシニア証券」と「株式を表象するシニア証券」は、それぞれ各1種類ずつに限るとされています。

シニア証券の定義はSection 18(g)に定められていますが、Section 18(c)の目的上、銀行その他の者により私的にアレンジされ、公衆に分配されることを目的としていない貸付、その猶予又は更新の対価としてクローズド・エンド・ファンドにより発行されたプロミッサリーノート又は他の負債の証書は、負債を表象するシニア証券の別のクラスであると見なされません。

2.負債を表象するシニア証券のカバレッジ

クローズド・エンド・ファンドの発行する、「負債を表象するシニア証券」については、Section 18(a)(1)に規定があり、以下の要件を満たす必要があります。
  1. 300%の資産カバレッジを持つこと
  2. 300%の資産カバレッジ(ただし、株式を表象するシニア証券については200%の資産カバレッジ。)を損なうような株式に対する配当の宣言(株式についての配当を除く)、その他の分配の宣言、株式の購入を禁止する規定があること
  3. 以下のいずれか規定があること。
  • シニア証券の資産カバレッジが連続する12暦月の最終営業日において100%を下回った場合、負債保有者は、資産カバレッジが連続する3暦月の最終営業日において110%を上回るまで、投資会社の取締役の過半数を選任する権限を有する。
  • シニア証券の資産カバレッジが、連続する24暦月の最終営業日において100%を下回った場合、債務不履行(event of default)が発生したとみなされる。
資産カバレッジは、Section 18(h)に定義されており、投資会社の総資産からシニア証券ではないすべての債務を控除した額を負債を表象するシニア証券の合計額で除した割合をいうとされています。

3.株式を表象するシニア証券

クローズド・エンド・ファンドの発行する、株式を表象するシニア証券については、Section 18(a)(2)に規定があり、以下の要件を満たす必要があります。
  1. 200%の資産カバレッジを持つこと
  2. 200%の資産カバレッジを損なうような普通株式に対する配当の宣言(普通株式についての配当を除く)、その他の分配の宣言、普通株式の購入を禁止する規定があること
  3. シニア証券の保有者が2人以上の取締役を選任することができ、過去2年間に支払われるべき配当の金額に等しい金額が配当として支払われていない場合、一定の条件の下、取締役の過半数を選任することができるとする規定があること
  4. 当該シニア証券に悪影響が生じる組織再編計画又はSection 13(a)の定める事項について、当該シニア証券保有者の過半数の承認が必要とされていること
  5. シニア証券は普通株式に対して配当・分配における完全な優先権を持ち、かつ、配当は累積的であること
この目的においては、資産カバレッジとは、シニア証券を除外して計算した純資産を、負債を表象するシニア証券の額と優先株の非任意償還優先権の額の合計で除した割合をいいます。