もう1年前になりますが、ロースクールのペーパーで日米英の公募ファンド法制を比較しました。

そこでは、ガバナンス要件の厳しさの程度によっていろいろな制度設計がありえ、日本の投資信託は契約型としてガバナンスが弱いタイプ、アメリカのミューチュアル・ファンドは会社型としてガバナンスが強いタイプに整理できる、というようなことを書きました。

一見、ガバナンス要件が厳しければ厳しいほど良さそうですが、コストに見合うかどうかの検討は当然に必要であり、公募ファンドの場合に、高度のガバナンス要件を課す必要が本当にあるのかという点は疑問も示されてきています。

なので、どの制度が優れているかは決め難く、歴史を踏まえた各国ごとの選択になる、というのがペーパーの結論でした。

それに関連してイギリスの公募ファンド法制を調べてまとめたので、それを書いていきます。Googleで見ても日本語で説明したものはweb上にほとんどなさそうなので、どこかで誰かの役に立つかなぁと期待。

イギリスの集団投資スキームは以下の2つの類型に分けられます。
  • 変動資本投資会社(investment companies with variable capital。ICVCと略されます。)
  • ユニット・トラスト(unit trusts。認可を受けたユニット・トラストはAUTと略されます。)
変動資本投資会社の定義については、イギリスのFSAにより作成された集団投資スキームソースブック(Collective Investment Schemes Sourcebook。COLLと略されます。)で見ることができ、そこでは、「イギリスを本拠とするオープンエンド型の投資会社」(“the UK-based form of an open-ended investment company”)とされています。

ユニット・トラストは、イギリスFSAにより作成された集団投資スキーム情報ガイド(Collective Investment Scheme Information Guide。COLLGと略されます。)では、「資産が信託受託者によって参加者のために信託により保有される集団投資スキーム」(“a collective investment scheme under which the property is held on trust for the participants by the trustee”)とされています。


続きます。