前に書いたとおり、ミューチュアルファンドは、州法に基づき設立されます。

多分どの州で設立することも可能なんでしょうが、メリーランド州法のコーポレーション(corporation)の形態をとるものと、マサチューセッツ州法のビジネス・トラスト(business trust)の形態をとるものが一般的です。

会社形態のものは、株主(shareholder)の有限責任が確保されている点、取締役会を有する点に特徴があります。

メリーランド州法に基づく会社は、?株式の償還が可能である点、?メリーランド州にはcorporate franchise tax(会社の純資産に基づき課される州税)がない点、?会社法がミューチュアル・ファンドに望ましいものとなっている点でメリットが有るため、多くのミューチュアル・ファンドがメリーランド州での設立を選択しています。

信託形態のものは、受託者委員会(board of trustees)により統治されます。(だから信託でも”会社型”と言われます。こちらこちらで書いたとおりです。)

信託宣言で許される場合、受益者の承認を得ることなく受託者がほとんどの行為(受益権を発行を含みます。)をすることができます。

ビジネス・トラストは、州法上、受託者の責任を忠実義務(duty of loyalty)以外の信任義務(fiduciary duty)違反に限定することが許されていたりしますが、投資会社法によりそのような限定は結局制限されています。

ビジネス・トラストの場合、持分保有者又は受託者の有限責任が明示的に認められているわけではないので、無限責任の潜在的なリスクは存在します。

しかし、デラウエア州のスタチュトリー・トラスト(statutory trust)であれば、会社と同様に有限責任が認められている。

なお、ビジネス・トラストとスタチュトリー・トラストとは、何がどう違うかよくわかっていなかったので、これを調べるのも留学のひとつの課題でした。調査結果ですが、名前が違うだけということで理解しておけばとりあえずOKみたいです。法律が違う以上当然違いはあるんでしょうが、大きなコンセプトは変わりません。