(2010.5.9追記:表現を少し改めました。)

ファンドが投資収益を分配する場合については、前に、キャリード・インタレストの支払い方 その1でまとめました。

このなかで、投資家に対して出資金のほか「一定の利益」を優先的に支払うというアレンジについて述べましたが、きちんとワークするように枠組みを作るのは簡単ではないので、考慮要素をまとめてみます。

1.「一定の利益」は、何に対して発生するか

(1) 出資元本

「一定の利益」が、出資した元本部分について一定の割合で発生することについては、特に難しいことはなさそうにも見えます。

しかし、「元本」が何かについては、そう簡単ではありません。これを契約書で明らかにしておく必要があります。

元本の考え方には二通りあり、投資回収のあった投資についての出資元本を「元本」とする方法と、出資全般を「元本」とする方法があります。以下、前者を「各投資法」、後者を以下「出資全額法」といいます。これは今作った造語です。

各投資法は、投資回収があった場合には、当該投資に関する元本の返還に加えてその◯%を分配するという方法であり、出資全額法は、投資回収があった場合には、出資総額の返還をした上でその◯%を分配する方法となります。

投資家が特定の投資について出資を拒むことができる場合(日本ではいろいろな問題を伴いますが、外国のファンドではよく見ます。)、各投資法のほうが公平と思われます。

もっとも、出資全額法の方が、キャリード・インタレストの支払いは遅くなりますので(その分出資金の回収が早まります。)、投資家にとっては投資全額法のほうが魅力的かもしれません。


続きます。