その後、この実務は発展します。オーダー・フローへの支払いは、小口の注文に対する支払いが中心となっていきました。

さて、ここで問題です。大口の注文に対して支払いをすれば、効率良く注文を集めることができ固定費や在庫コストは簡単に希釈化できるにもかかわらず、オー ダー・フローへの支払いは、なぜ小口の注文を中心にしていったのでしょうか。

この理由は、ビッド・アスク・スプレッドの最後の要素である逆選択(adverse selection)にあります。

大口の注文をする投資家に比べ、小口の注文をする投資家は情報を持っている可能性が類型的に少ないと考えられます。そのため、ディーラーは自分に損をさせ ない投資家のみを集め、逆選択の要素を極力減らそうとしたのです。

このオーダーフローへの支払いは、一種のリベートのようなものだとして問題視されましたが、今では許容されています。ブローカー間で競争が十分な場合、ブ ローカーが投資家に対して課す取引手数料が安くなり、その結果、投資家が利益を得ると考えられます。

ただし、ブローカーは、レギュレーションNMSのRule 607及びExchange ActのRule 10b-10で投資家への報告が求められます。また、最良執行義務は当然のことながら課されてされています。

日本で同じことを他国に先駆けて思いついた人がいた場合、リベートはけしからん、ということで終了な気がします(自粛するか所轄官庁がダメと言うかは別として。)。その点、アメリカではNASD(今はFINRA)がいろいろと検討して、結局のところは投資家に利益があるという結論を出したのは、なかなかすごいことではないかと思います。