Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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カテゴリ:米国REIT

REIT持分は有価証券に該当しますので、その公募は証券法の適用を受け、流通市場での取引は取引所法の適用を受けます。

REITが使うべきregistration statementの様式は、Form S-11です。

REIT持分の公募にあたっては、ロールアップ・ルール(roll-up rule)について留意が必要です。

ロールアップ・ルールは、Regulation S-KのItem 901以下に規定されており、ロールアップ取引(roll-up transaction)に該当する場合には開示義務に関して追加的な義務が課されることとなります。

ロールアップ取引の定義はItem 901(c)にあり、1以上の組合の結合(combination)又は再編成(reorganization)を直接又は間接に伴う取引であって、当該組合の一部又はすべての投資家が新しい有価証券又は他のエンティティの有価証券を取得することとなるものがこれに該当します。

この例外は(c)(2)に定められており、証券法の登録が不要な取引であれば、ロールアップ取引からは除外されます。

そこで、UPREITの組成などで運用組合の持分発行とREIT持分の公募がなされる場合、前者と後者が別の取引であると構成できるかが問題となります。

別の取引として構成できれば、前者は(c)(2)によりロールアップ取引から除外され、後者は組合の結合又は再編成を伴わない取引と見ることができます。

両者が一体として取り扱われるかどうかは、募集の通算(integration)の問題となります。

証券法の問題なので深入りはしませんが、証券法Rule 152にセーフハーバー・ルールがあり、これが使えない場合は「5要素基準」をベースとして通算の要否を判断します。

Rule 152については、Black Box, Inc.に対する1990年のノーアクションレター、Verticom, Inc.に対する1986年のノーアクションレターが有名です。

「5要素基準」は、証券法のリリース(Securities Act Release No.4434)に記載され、今ではRule 502の注に含まれています。この「5要素基準」の下で、別の取引とされるのはかなり厳しいと考えられています。

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3.ダウンリート(DownREIT)

アップリートはREITがひとつの運営組合を通じて不動産を保有する形態であるのに対して、ダウンリートはREITが物件の直接保有と運営組合を通じた間接保有が混在する形態のものをいいます。

ダウンリートのでき方ですが、既存REITと含み益を有する不動産の保有所有者がいて、不動産保有者は運営組合に対して資産を現物出資し、既存REITは金銭を出資して組合持分を取得することにより出来上がります。

そして、アップリートと同様に、運営組合の持分は、運営組合又はREITの裁量により、REIT持分又は現金に転換されるという合意がなされます(アップリートと異なり、1対1の比率とはなりません)。

これは、既存REITがアップリートと対抗するために編み出したもののようです。

すなわち、アップリートは物件買収の際にも不動産保有者に課税繰り延べのメリットを与えることができるのですが、既存REITがDownREITスキームを使うことによって、不動産保有者に対して課税繰り延べのメリットを与えることができます。

課税繰り延べのメリットがなぜ生じるかについては、アップリートと同じです。運営組合の持分をREIT持分又は金銭に転換するときに譲渡益が認識されます。


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2.アップリートの必要性

アップリートは、不動産の含み益に対するREIT設立時の課税を避けるためのスキームです。

含み益を有する不動産を新たに設立するREITに現物出資し、現物出資者がREITの支配(control)する場合には、原則として内国歳入法Section 351(a)により、現物出資は課税イベントとなりません。

しかし、支配要件を満たさない限り、課税イベントとされてしまいます。

また、Section 351(e)とこれに基づくTreas. Reg. Section 1.351(c)(1)は、Section 351(a)の適用除外を定めており、投資会社(Investment Company)への現物出資によって、出資者の持分が分散(diversification)する結果となる場合には、現物出資は課税イベントとされま す。

REITは投資会社法は投資会社に該当しないことが多いのですが、Section 351(e)との関係ではTreas. Reg. Section 1.351(c)(1)により投資会社と扱われます。

また、不動産をREITに組み込むことは、不動産保有者の持分の分散を意味しますので(他の投資家の資金が入る等の理由から)、REITに直接現物出資をしてしまうと課税イベントとされてしまいます。

この問題を避けるため、UPREITというスキームが用いられます。

組合への現物出資はSection 721が適用されますが、同(a)は出資後の支配の有無にかかわらず原則として課税イベントとならないと規定しています。

また、同(b)はSection 351(e)と同様の適用除外を定めていますが、運営組合はREITと異なり、投資会社には該当しません。

したがって、アップリートを用いることによって、含み益を有する不動産の課税を繰り延べることが可能となります。
不動産所有者の取得した運営組合の持分が、アップリートの持分又は金銭と交換された場合に、課税が発生します。

これに加えて、アップリートには相続時のメリットもあります。

運営組合の持分保有者が死亡した場合、Section 1014(step-up in basis rules)が適用され、受益者(beneficiaries)は当該持分に係る相続時の時価をその持分の取得費をとすることができます。


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アメリカのREITの中には、不動産に直接投資するのではなく、リミテッド・パートナーシップの運営者(ジェネラル・パートナー)として不動産投資に関与するものがあります。

これには、アップリート(UPREIT)とダウンリート(DownREIT)があります。

1.アップリートの作り方

アップリート・ダウンリートは、含み益を有する不動産の所有者が存在することが前提となります。

この不動産の所有者は、運営組合(operating partnership)に不動産を現物出資して、運営組合のリミテッド・パートナー持分を取得します。

また、REITは、IPOなどにより資金を調達したうえで、その資金を出資して運営組合のジェネラル・パートナー持分を取得します。

運営組合の組合契約では、不動産所有者の取得した運営組合の持分とアップリートの持分を1対1で、又はREITの選択により、それに等しい額の金銭と交換できる、と定めているのが通常です。

運営組合に係る出資契約には、運営組合の持分のロックアップが定められており、最低1年間の処分禁止が規定されています。その期間中は上記の運営組合持分とREIT持分又は金銭との交換も禁止されます。

できあがりとしては、以下のとおりとなります。
  • 不動産所有者が処分禁止付きの運営組合のリミテッド・パートナー持分を保有
  • アップリートが運営組合のジェネラル・パートナー持分を保有
  • 投資家がアップリート持分を保有
  • アップリートの現金は取得物件にかかる債務を弁済したり、新規物件取得に使ったりする
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現物不動産に投資するREITが投資会社に該当しないことはとくに問題となりませんが、モーゲージや不動産関連有価証券に投資する場合には、投資会社該当性が問題となります。

投資会社法Section 3(c)(5)(C)は、不動産又は不動産持分に係るモーゲージ又は他の担保権の取得を主として行う者は投資会社に該当しないと定めていますので(こちらも参照。)、この例外が適用されるように注意する必要があります。

投資会社法Section 3(c)(5)(C)の「主として」の意義はその文言からは必ずしも明らかではないのですが、SECはノーアクションレターによりその立場を明らかにしてきています。

すなわち、SECは、以下の要件を満たす場合には投資会社法Section 3(c)(5)(C)に依拠できるとしてきます。
  • 総資産の55%以上が「不動産又は不動産持分に係るモーゲージ又は他の担保権」(「適格持分(qualifying interests)」と呼ばれます。)で構成されていること
  • 残りの45%が主として不動産タイプの持分(real estate-type interests)で構成されていること
2点目の45%テストを満たすためには、SECは、総資産の25%以上が不動産タイプの持分であること(適格持分に55%を超えて投資している場合には、その分は控除されます)、総資産の20%超を雑投資(miscellaneous investments)に投資していないことが求められます。

適格持分については、SECは、不動産に対する持分又は不動産によって担保されたローン若しくは担保権(lien)の表象する資産というとしています。

この点については近時のノーアクションレター(こちら)に簡潔にまとめられています。

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