Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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カテゴリ:米国REIT

4.不動産モーゲージによって保証された義務から発生する利子

利子の意義についてはSection 856(f)に規定があります。

不動産からの賃料と同様に、債務者の収入に連動するものは含まないとされています(ただし固定割合の場合はOK)。

また、不動産証券化用のビークルであるREMIC(real estate mortgage investment conduit)に対する持分について発生する所得も、REMICの資産の95%以上が不動産で構成される場合には、不動産モーゲージによって保証された 義務から発生する利子として扱われます(Section 856(c)(5)(E))。

5.ヘッジ取引からの所得

Section 856(c)(5)(G)に規定があり、95%テスト及び75%テストの関係上、ヘッジ取引による所得は総所得からは除外されます。

REITの負債に関する金利に対するヘッジ取引のほか、通貨に関するヘッジ取引も、所定の要件の下、上記取り扱いの対象となります。

6.救済措置

95%テストと75%テストを満たさない場合でも、Section 856(c)(6)、Treas. Reg. Section 1.856-7(b)に救済措置があります。

合理的な理由があって故意(willful neglect)がなく、かつ発見後に当該課税年度に関する確定申告書別表に必要事項を記入して提出した場合には、REITとしての適格を失わないとされています。

ただし、95%テスト又は75%テストを超過する所得については、Section 857(b)(5)に従い課税がなされます。

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所得要件として、REITは毎年以下の2つを満たす必要があります。
  • 95%テスト(Section 856(a)(7)、(c)(2))
  • 75%テスト((a)(7)、(c)(3))
なお、かつて所得要件として30%テストもありましたが、これは現在はありません。

1.95%テスト

REITの総所得の95%以上がSection 856(c)(2)に列挙されるものがであることが求められます。

Section 856(c)(2)に列挙されるものとしては、配当、利子(interest)、不動産からの賃料(rents from real property)、株式、有価証券及び不動産の処分益などのがあります。

2.75%テスト

REITの総所得の75%以上がSection 856(c)(3)に列挙されるものがであることが求められます。

Section 856(c)(3)に列挙されるものとしては、不動産からの賃料(rents from real property)、不動産によって保証された義務から発生する利子、不動産の売却益、不動産モーゲージによって保証された義務の売却益、他のREITからの配当、適格一時的投資所得(qualified temporary investment income)などがあります。

なお、適格一時的投資所得の意義についてはSection 856(c)(5)(D)に規定があります。

3.不動産からの賃料

不動産からの賃料の意義についてはSection 856(d)に規定があります。

かなり複雑な定義となっていますが、大雑把に言って以下のとおりです。
ー不動産の賃料と管理料を含む。
ー不動産の賃貸に関連する動産の賃料も全体の15%以下であれば含む。
ー賃借人の収入に連動するものは含まない(ただし固定割合の場合はOK)。
ー関連当事者賃借人(related party tenant)からのものは含まない。
ー(d)(7)に定義される「許容されない賃借サービス所得」(impermissible tenant service income)は含まない。

関連当事者賃借人とは、REIT又はREIT持分を10%超保有する者によって、10%超の持分を保有されている賃借人をいいます。


続きます。
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持分所有者要件としては、以下の2つを満たす必要があります。
  • 100名以上の持分保有者がいること(Section 856(a)(5))
  • 同族会社(Closely held entity)でないこと(Section 856(a)(6)、(h))

これらのテストは、どちらもREITの初年度には適用されません(Section 856(h)(2))。

1.100名以上要件

課税年度のうち335日間(会計年度が1年未満の場合には日割り。Section 856(b))、REIT持分保有者が100名以上である必要があります。

この計算にあたっては、みなし保有のルール(rule of attribution)は適用されません(Treas. Reg. Section 1.856(d)(2))。

2.非同族会社要件

同族会社要件は、Section 542(a)(2)により判定されます。

各課税年度の後半に、5名以下の個人が直接又は間接にREITの持分価値の50%超を保有している場合には、同族会社に該当します。

細かい計算ルールは、Section 856(h)や関連するTreasury Regulations参照。

3.超過持分規定

同族会社要件の適用を避けるため、定款又は信託約款に超過持分規定(“excess share” provision)が規定されていることがあります。

これは、所定の持分割合を超えてREIT持分を取得しようとする者がいる場合、その超過部分については定款又は信託約款に定める者に自動的に移転されるという規定です。この持分割合は9.8%とされるのが一般的のようです。

この規定の有効性も問題になりえますが、IRSは有効性を認めてきています。

なお、この規定は、関連者賃借人(related party tenant)の発生を防ぎ「不動産からの賃料」(rents from real property)該当性を確保する役割や、買収防衛策としての役割も果たします。
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1.総論

REITの定義は内国歳入法Section 856に規定されています。

これによれば、REITに該当するためには以下の要件を満たす法人、信託又は団体(association)であることが必要とされます。なお、カッコ内はSection 856の該当するParagraphです。
  • 1人以上の取締役または受託者によって運営されていること((a)(1))
  • 持分は譲渡可能であること((a)(2))
  • REITのルールを除き、法人課税の対象となりうること((a)(3))
  • 保険会社または銀行に分類されないこと((a)(4))
  • 持分所有者要件を満たすこと((a)(5)、(a)(6))
  • REITとしての取り扱いを受けることを選択していること((a)(7)、(c)(1))
  • 収入要件を満たすこと((a)(7)、(c)(2)、(c)(3)、(c)(6))
  • 資産要件を満たすこと((a)(7)、(c)(4)、(c)(5)、(c)(7))
また、REITとしての課税上の取り扱いを受けるためには、Section 857の要件も満たす必要があります。

Section 857は、以下を求めています。なお、カッコ内はSection 856の該当するParagraphです。l
  • 配当要件を満たすこと((a)(1))
  • REITとなった最初の年度末に、REITになる前のearnings and profitが存在しないこと((a)(2))
このほか、Section 859は、暦年を会計年度とすることを求めています。

2.譲渡可能性

持分は譲渡可能であることが必要とされていますが、持分所有者要件に悪影響を及ぼすような譲渡を制限することは許容されています(Treas. Reg. Section 1.856(d)(2))。

3.選択及び課税年度について

REITとして取り扱われるためには、そのことを選択する必要がありますが、その選択はForm 1120-REITによって最初の会計年度の税金を計算して報告することによって行います。

この選択は次年度以降も効力を有し、Section 856(g)に従った資格喪失又は撤回があった場合に効力を失います。
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1.REITとは何か

REITとは、Real Estate Investment Trustの略で、日本語では不動産投資信託と言われたりします。もっとも日本のREITは投資法人ですが(法人税法67条の15)。

REITの要件については内国歳入法で定められており、アメリカ法的にはこの要件を満たすものを一般的にREITと呼びます。Real Estate Investment "Trust"と呼ばれていますが必ずしも信託形態である必要はありません。

2.法的形態

法人形態のものとビジネス・トラスト形態のものがあります。

法人形態の場合には州の会社法が適用されるので、コーポレート・ガバナンスなどはこれに従うこととなります。また、有限責任のメリットもあります。

ビジネス・トラスト形態の場合には、コーポレート・ガバナンスの面で柔軟性が認められます。また、州の税金の観点で有利な場合があるようです。ただし、法人形態と比べて法的な不確実性が高く、有限責任については必ずしも明確ではありません。

3.課税

あとで詳しくまとめますが、REITに対しては、日本と同様にペイスルー型の課税がなされます。
投資家については、基本的に法人に対する持分と同じような課税がされます。

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