Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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カテゴリ:金商法実務

以前、適格機関投資家特例業務について少しだけ その1その2を書く原因になった業者が見事に警告書を受けていました。

http://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/tekikaku.html

外国の業者にも警告書がでれば、仕事が増えるような気がします(まだ復帰してないけど)。
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漢字ばっかりのタイトルになってしまいました。

適格機関投資家の定義は、金商法2条3項1号、定義府令10条に規定があります。

この中で、定義府令10条1項18号は投資事業有限責任組合自体が適格機関投資家に該当するとしています。

このブログの愛読者(もしいれば。)は、これに少し違和感を覚えるのではないかと思います。

日本法では、投資法人を除くファンド全般について、基本的に社会実体がないことを前提としています。ファンド持分の発行者はファンド自体ではなくファンド運営者とされていたり、業規制などもファンド運営者に対するものとして規制されていたりします。

これは投資事業有限責任組合でも同様です。持分発行者は無限責任組合員とされています。また業規制の対象も無限責任組合員です。

なのに、定義府令10条1項18号は投資事業有限責任組合自体が適格機関投資家に該当するとしています。ちょっと不思議です。

これは他の形態の組合型ファンドに関する規定とも一貫しません。これらのファンドについてはファンド運営者に着目して適格機関投資家該当性が判断されます。法人の場合は23号、個人の場合は24号です。

スジ的には、投資事業有限責任組合についても「投資事業有限責任組合の無限責任組合員(投資事業有限責任組合の無限責任組合員として取引を行う場合に限る。)」などとすべきような気がします。

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(2) 適用免除

有価証券報告書提出義務を免れることができる場合として、以下のような場合あります(金商法24条1項但書)。

まず、金融商品取引所(プロ向け市場を除く。)に上場していないものの有価証券届出書または発行登録追補書類を出したことにより有価証券提出義務が課されている場合、以下の要件を満たせば義務を免れることができます。
  • 有価証券報告書提出開始年度終了後5年を経過していること
  • 当該事業年度の末日及び当該事業年度の開始の日前四年以内に開始した事業年度すべての末日において株主が300(金商令3条の5第2項)未満
  • 内閣総理大臣の承認を受けた
また、金融商品取引所(プロ向け市場を除く。)に上場しておらず、有価証券届出書または発行登録追補書類を提出していないにもかかわらず、株主数が1000人以上であることにより有価証券提出義務が課されている場合、以下のいずれかの場合には義務を免れることができます。
  • 会社の資本金の額が当該事業年度の末日において5億円未満
  • 当該事業年度の末日における株券所有者の数が300(金商令3条の6第1項)未満
加えて、非上場の場合には、金商令4条及び開示府令15条の3にしたがって内閣総理大臣の承認を受ければ、義務を免れることができます。

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有価証券報告書の提出が必要な場合について整理してみました。
なお、以下の説明は株式会社の発行する株券を前提とします。

(1) 有価証券報告書提出義務

金商法24条では、以下のいずれかに該当する場合には、有価証券報告書の提出義務が発生します。
  1. 金融商品取引所(プロ向け市場を除く。)に上場している
  2. 有価証券届出書または発行登録追補書類を提出した
  3. 当該事業年度又は当該事業年度の開始の日前4年以内に開始した事業年度のいずれかの末日における株主数が1000人(令3条の6第4項)以上であるもの
最後の点については、株主数の数え方について金商法24条4項、開示府令16条の3に規定があり、有価証券信託受益証券や預託証券が使われている場合には背後にいる実質所有者も数えることとなります。

店頭市場があればそこで流通するものについても政令指定により有価証券報告書提出が義務づけられるのでしょうが、いまのところ店頭市場がないので、金商法24条1項2号は空振りになっています。

なお、有価証券届出書を提出して公募、取引所上場、継続開示義務発生、というのがセットになっているのが一般的な例だと思いますが、上記のとおり、公募せず上場した場合も、上場せず公募した場合も、公募しなくても株主数が1000人以上となった場合も、有価証券報告書の提出義務が発生します。


続きます。
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つぎに、マーケットメーカーの責任について。

指定アドバイザーは、市場に売り手しかいなかった場合には買い手になって市場に流動性を供給する義務を負います。NYSEにも、このような役割を負う者がいて、DMM(designated market maker)と呼ばれます。

マーケットメーカーの収益の構成要素をビッド・アスク・ スプレッドの構成要素 その1その2にいろいろ書いたのですが、取引量が十分に確保されないと収益を確保することは難しくなります。

取り扱う取引量が少ないと、スプレッドを大きくしないと収益を確保できませんが、重複上場の場合、本国の市場にも流動性供給者がいます。そして、本国の方 が流通量が大きいということであれば、本国の流動性供給者との競争にはほとんど勝ち目がなさそうです。

こうなると、流通量が少ない→スプレッドが大きくなる→流通量がさらに減る→スプレッドがさらに大きくなる、という市場の失敗のスパイラルです。

本国の市場と裁定取引を中心にして流動性を供給するということも考えられますが、本国の市場でも売り一色であれば、どうなるんでしょうね。

また、本国にマーケットメーカーのような者がいない場合、日本の指定アドバイザーだけが買い手としての義務を負うことになるので本国からも流動性を求めて東京にやってきたりしたら、指定アドバイザーの被害甚大ですよね。


ニュースを見て1時間かそこらで考えをまとめただけなので、理解が間違っていたり、内容に不十分だったりするかもしれませんが、そのときは優しく教えてください。


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