Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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カテゴリ:ファンド全般

ファンドの会社型・契約型について前に少しまとめましたが、有価証券の発行規制と業規制についても会社型・契約型の違いが出ているのでその点について。

細かい点を考えていくと収拾がつかなくなるので、今回はいつにもましてざっくりとした話です。正確さにかける点もあるかもしれませんが、イメージとして捉えてください。

会社型の場合、ファンド自体が活動主体として認識されるため、ファンドが発行者となり、業規制の適用も受けます。 

これに対し、契約型の場合、ファンド自体ではなく、その関連当事者が発行者となり、業規制の適用も受けます。

アメリカ法では、ファンドは会社型とされていますので、以下のように扱われます。
  • ファンド自体が有価証券の発行者
  • ファンド自体が業規制の対象
日本の委託者指図型投資信託は契約型として、以下のように扱われます。
  • 投資信託委託会社が発行者
  • 投資信託委託会社が業規制の対象
日本の組合型ファンドも契約型として、以下のように扱われます。
  • ファンド運営者が発行者
  • ファンド運営者が業規制の対象
委託者非指図型投資信託も契約型として、以下のように扱われます。
  • 受託者が発行者
  • 受託者が業規制の対象
投資法人は会社型と考えられていますが、少し変わっています。
  • 投資法人自体が発行者(会社型)
  • 投資法人自体が一応業規制の対象(会社型)
  • 資産運用会社も業規制の対象(契約型)
投資法人は資産運用会社への資産の運用に係る業務の委託が義務付けられており(投信法198条)、しかも資産運用会社は金商業者として規制を受けますので、業法的には契約型としての色彩が強いのではないかと思います。

投資法人は会社型と考えるのが一般的かもしれませんが、実態としてはガバナンスの多少効いた契約型と考えたほうがよさそうな気もします。

法人型にしたいのならそれなりに筋を通せばよかったのに、投資信託との整合性とかで中途半端になっちゃんたんじゃないかと思います(完全な想像)。現行の制度では投資法人の登録が本当に必要なのかよくわかりません。


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3.金商法2条2項5号と6号は組合型ファンドに限らない

組合型以外のファンドが金商法2条2項5号と6号の要件を満たすことがある、というのはあまり意識されていないのではないかと思います。

確かに、金商法2条2項5号は、典型的には組合型のファンドを想定した規定であり、組合に関する法律がいろいろ列挙してあります。

しかし、金商法2条2項5号には、その後ろに「社団法人の社員権その他の権利」とはっきり書いてあります。なので、組合型ファンドに限られません。

金商法2条2項5号に該当するためには、組合型かどうかは重要ではなく、(i)金商法2条1項または2条2項(5号を除く)に該当しない権利であること、(ii)出資対象事業から収益の配当または財産の分配を受ける権利であること、という要件を満たすかどうかが重要です。

たとえば、株券が金商法2条2項5号の適用外なのは、”株式会社は組合ではない”ということではなく、株券が金商法2条1項9号に規定され、(i)を満たさないからです。

投資信託の受益証券が金商法2条2項5号の適用外なのは、”投資信託は組合ではない”ということではなく、投資信託の受益証券が金商法2条1項11号に規定され、(i)を満たさないからです。

4.蛇足

こういう点はまじめに条文を読めばわかることですが、慣れてくると危ういかもしれませんので注意が必要です。

会議中に若手弁護士が条文を参照しているのは、こういう点を確認している可能性があります(やってない若手は確認しましょう。)。そして、多くの場合は安心して終わりなので、その点に関して何も言いません。

クライアントなどからは”イロハのイも知らないで”というように見えるかもしれませんが、条文とか基本書とかを毎回きちんと見ておくのは必要な作業だと思います。分かった気になっていると大きな間違いが起きる可能性があります。

何でも知っている顔をしている”大先生”が好きな人もそれなりにいるのですが、基本から積み上げてきちんと仕事をする点を評価してもらえるようになるといいですね。
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1.広義の集団投資スキーム

集団投資スキームって何でしょうか。結構いろんな意味で使われているのではないかと思います。

これは、英語のcollective investment schemeの和訳だと思いますが、Wikipediaでみたら以下のように書いてありました。

A collective investment scheme is a way of investing money with others to participate in a wider range of investments than feasible for most individual investors, and to share the costs and benefits of doing so

要するに、多くの人から資金を集めてまとめて運用することで、一般個人投資家の出資ではできないような投資を実現するスキームのことを言います。

これが広義の集団投資スキームです。

法的形式は問いません。組合型のファンドのほか、投資信託も代表的なものとして含まれます。また、株式会社であっても含まれます。

2.狭義の集団投資スキーム

広義の集団投資スキームが自然な意味だと思うのですが、集団投資スキームには狭義の意味で使われることも多そうです。

これには大きく3パターンに分けられるのではないかと思います。

パターン1-1:条文を重視するもの

金商法2条2項5号と6号の要件を満たすものを集団投資スキームと呼びます。

株式会社や投資信託など広義の集団投資スキーム該当するエンティティであっても、その持分が証券取引法下で有価証券として扱われていたものはこれに含まれません。

パターン1-2:条文を重視する(ただし除外規定は無視)するもの

基本的にパターン1-1と同じですが、金商法2条2項5号各号に該当する結果として持分が有価証券とみなされない場合にも集団投資スキームと呼びます。

この立場では、たとえば、「出資者の全員が出資対象事業に関与する」ファンドは、”集団投資スキームであるものの除外規定によりその持分は有価証券とみなされない”ということになります。

パターン2:組合型を重視するもの

組合型のファンドを集団投資スキームと呼びます。

パターン1と想定するところはほぼ同じです。株式会社や投資信託など、その持分が証券取引法下でも有価証券として扱われていたものはこれに含まれません。

ただし、金商法2条2項5号と6号の要件を満たさない組合型ファンドもこれに含まれます。したがって、たとえば、出資対象事業からの収益の配当または財産の分配を受ける権利がないものであっても、組合型ファンドでさえあればこれに含まれます。

逆に、組合型以外のファンドは、金商法2条2項5号と6号の要件を満たしたとしても、これに含まれません。

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ETFとは、Exchange Traded Fundの略で、訳すと「取引所で取引されファンド」という意味になります。

しかし、日本でETFと言った場合、これよりも狭い意味であることが多いと思います。その点を整理してみます。

1.ETFは指数に連動するもの?

ETFは、指数に連動する投資成果を目指すものでなければならないと考えられていることが多いのではないかと思います。

典型的なETFは指数連動型であることは間違いありません。
アメリカを代表するETFは、S&P500、NASDAQ、ダウに連動するものです

また、東証の有価証券上場規程第1001条30号では、「内国ETF」を、一口当たりのNAVが特定の指標の変動率に一致するものであるとしており、指数連動型ではないファンドは東証の規程にのってきません。

ETFの定義上、必ずしも指数に連動する必要はありません。
また、アメリカでは近年アクティブ運用型のETFも出てきています。
なので、誤解しないように注意が必要です。


続きます。


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2.「会社型」とは

次は、「アメリカの投信は会社型である」の意味です。

上記のとおり、米国でポピュラーな公募ファンド であるミューチュアル・ファンドには、信託形態を用いるものもあります。それにもかかわらず、「アメリカの投信は会社型である」といわれます。

日本では、契約型=投資信託、会社型=投資法人、という分け方になっているので、わかりやすいのですが、信託形態のものがなぜ「会社型」といわれるかはわ かりづらいと思います。

これは、ガバナンス体制のためです。

1940年投資会社法(Investment Company Act of 1940)では、公募ファンドはその機関として、取締役会(board of directors。会社形態の場合)又は受託者委員会(board of trustees。信託形態の場合)を有することが求められています。

そして、ファンドの重要事項については取締役会又は受託者委員会 の承認、重要度が最大級のものについては持分保有者(shareholder)の承認が必要とされており、通常の株式会社に似たガバナンス体制とされてい ます。

さらに、形式論だけですが、投資会社法の条文の建て付け上も、信託形態のものも、「投資会社(investment company)」と呼ばれ、受託者委員会のメンバーは取締役に含まれると定義されているなど、信託形態でも会社として扱うということが姿勢として示され ています。

このため、アメリカの「投信」は「会社型」といわれます。

「会社型」と「契約型」の違いは、法的な形式ではなくて、実質的な点にあります。

日本の投資信託も、ごく限られた場合ですが、受益者の承認が必要と差れる場合があるので、「会社型」としての性格も一部あるといえます。



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