Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
Biz Law Hack本館はこちら。http://bizlaw.ldblog.jp/

カテゴリ:クローズド・エンド・ファンド

ミューチュアル・ファンドに対するレバレッジ規制については前に書きましたが(こちらを参照)、クローズド・エンド・ファンドにもレバレッジに関する規制があります。

1.発行するシニア証券と優先株

投資会社法Section 18(c)では、クローズド・エンド・ファンドの場合、「負債を表象するシニア証券」と「株式を表象するシニア証券」は、それぞれ各1種類ずつに限るとされています。

シニア証券の定義はSection 18(g)に定められていますが、Section 18(c)の目的上、銀行その他の者により私的にアレンジされ、公衆に分配されることを目的としていない貸付、その猶予又は更新の対価としてクローズド・エンド・ファンドにより発行されたプロミッサリーノート又は他の負債の証書は、負債を表象するシニア証券の別のクラスであると見なされません。

2.負債を表象するシニア証券のカバレッジ

クローズド・エンド・ファンドの発行する、「負債を表象するシニア証券」については、Section 18(a)(1)に規定があり、以下の要件を満たす必要があります。
  1. 300%の資産カバレッジを持つこと
  2. 300%の資産カバレッジ(ただし、株式を表象するシニア証券については200%の資産カバレッジ。)を損なうような株式に対する配当の宣言(株式についての配当を除く)、その他の分配の宣言、株式の購入を禁止する規定があること
  3. 以下のいずれか規定があること。
  • シニア証券の資産カバレッジが連続する12暦月の最終営業日において100%を下回った場合、負債保有者は、資産カバレッジが連続する3暦月の最終営業日において110%を上回るまで、投資会社の取締役の過半数を選任する権限を有する。
  • シニア証券の資産カバレッジが、連続する24暦月の最終営業日において100%を下回った場合、債務不履行(event of default)が発生したとみなされる。
資産カバレッジは、Section 18(h)に定義されており、投資会社の総資産からシニア証券ではないすべての債務を控除した額を負債を表象するシニア証券の合計額で除した割合をいうとされています。

3.株式を表象するシニア証券

クローズド・エンド・ファンドの発行する、株式を表象するシニア証券については、Section 18(a)(2)に規定があり、以下の要件を満たす必要があります。
  1. 200%の資産カバレッジを持つこと
  2. 200%の資産カバレッジを損なうような普通株式に対する配当の宣言(普通株式についての配当を除く)、その他の分配の宣言、普通株式の購入を禁止する規定があること
  3. シニア証券の保有者が2人以上の取締役を選任することができ、過去2年間に支払われるべき配当の金額に等しい金額が配当として支払われていない場合、一定の条件の下、取締役の過半数を選任することができるとする規定があること
  4. 当該シニア証券に悪影響が生じる組織再編計画又はSection 13(a)の定める事項について、当該シニア証券保有者の過半数の承認が必要とされていること
  5. シニア証券は普通株式に対して配当・分配における完全な優先権を持ち、かつ、配当は累積的であること
この目的においては、資産カバレッジとは、シニア証券を除外して計算した純資産を、負債を表象するシニア証券の額と優先株の非任意償還優先権の額の合計で除した割合をいいます。

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

1.持分の発行

クローズド・エンド・ファンドは、原則として、その持分を継続的に募集することはありません。最初に決まった量の持分を販売し、それで終わりです。

ただし、これには例外があります。Rule 23c-3は、所定の要件を満たした場合に、一定の期間毎に持分を購入することを許容しており、このようなファンドはインターバル・ファンド(interval fund)と呼ばれていますが、このファンドは、証券法Rule 415(a)(1)(xi)に基づき、継続的に持分を募集することができるとされています。

投資会社法Section 23(a)では、役務提供を対価とする持分発行や、金銭又は有価証券以外の資産を対価とする持分発行は、配当もしくは分配として行われる場合または組織再編に関連する場合を除き、禁止されています。

また、Section 23(b)では、一定の例外を除き、自らの発行する普通株式を現在の純資産額を下回る価格で発行することを禁止しています。

2.持分の再購入

クローズド・エンド・ファンドは、原則として持分を再購入(repurchase)することができません(Section 23(c))。なので、投資家は流通市場で持分を売却することにより投下資本を回収することとなります。

ただし、Section 23(c)には例外が定められており、一定の証券市場での購入や公開買付による購入が認められています。また、同項(3)の委任を受けてRule 23c-1~3にも例外が定められています。

Rule 23c-1は所定の要件を満たした再購入を許容しており、Rule 23c-2はファンドの設立文書に記載した所定の要件を満たす償還(call or redeem)を許容しています。

Rule 23c-3は、所定の要件を満たした場合に、一定の期間毎に持分を購入することを許容しています。このような再購入を行うクローズド・エンド・ファンドは、インターバル・ファンド(interval fund)と呼ばれています。

再購入を行うに当たっては、取引所法の規制も遵守する必要がある点には注意が必要です。

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

1.クローズド・エンド・ファンドとは

クローズド・エンド・ファンドとは、マネジメント・カンパニー(額面証書会社とユニット・インベストメント・トラスト以外の投資会社)のうち、オープンエンド・カンパニーではないものをいいます(投資会社法Section 4、5。こちらも参照。)。

クローズド・エンド・ファンドの商品特色については前に書きましたので、こちらを参照してください。

クローズド・エンド・ファンドは、その資産の大部分を非流動資産に投資することができます。

解約対応義務を定めるSection 22(e)は、ミューチュアル・ファンドが非流動資産に投資することを阻害する効果を持ちますが(こちらを参照。)、この条項はクローズド・エンド・ファンドにも適用されます。

しかし、クローズド・エンド・ファンドは自由な解約を認めないので、同条項にもかかわらず非流動資産に投資することができます。

2.登録

投資会社法に基づくファンドの登録と証券法に基づく持分の登録は、Form N-2の様式を提出することにより行うことができます。

ひとつの様式で足りる点でミューチュアル・ファンドと同様であり(こちらを参照。)、二つの様式を出さなければならないユニット・インベストメント・トラストとは異なります(こちらを参照)。
    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ