Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
Biz Law Hack本館はこちら。http://bizlaw.ldblog.jp/

カテゴリ:ユニット・インベストメント・トラスト

1.関連当事者との契約

投資会社と関連当事者との契約については、投資会社法Section 15に規定があります。

インベストメント・アドバイザーとの契約についてはSection 15(a)が規定していますが(こちらこちらを参照。)、 ユニット・インベストメント・トラストの場合、インベストメント・アドバイザーがいません。

また、主たる引受人との契約についてはSection 15(b)が規定していますが(こちらを参照。)、これはオープンエンド・カンパニー(意義についてはこちらを参照。)に対する規制であってユニット・インベストメント・トラストには適用がありません。

2.ガバナンス

ユニット・インベストメント・トラストの場合、取締役会がないので、ミューチュアル・ファンドのような規制はありません。

3.関連者取引

関連者取引は、投資会社法Section 17に規定があり、ユニット・インベストメント・トラストにも適用があります。

ただし、Section 17(a)(1)(C)には、ユニット・インベストメント・トラスト用の例外規定があり、委託者による受託者への有価証券の預託については関連者取引であっても禁止の範囲から除外されています。

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ユニット・インベストメント・トラストは、ミューチュアル・ファンドと同じように課税されるものと、委託者課税信託(grantor trust)として課税されるものとがあります。

ミューチュアル・ファンドと同じように課税されるものについては、こちらこちらを参照。ユニット・インベストメント・トラスト自体が課税対象とされるものの、所定の要件を満たせばペイ・スルーの扱いを受けることができます。

委託者課税信託の場合、信託自体は課税対象とされず、委託者が信託に関する権利義務主体として課税されます。

詳しくは内国歳入法671条~679条に規定さ れていますが、委託者に一定の権限がある場合には、委託者課税信託として扱われ、委託者自身に対するパス・スルー課税となります。

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(1) 純資産額

ューチュアル・ファンドの純資産額で書いたのと同様、投資会社がその持分を販売、解約又は買取する場合、「現在の純資産額」(current net asset value)に基づく価格で行うことが求められます(投資会社法Rule 22c-1(a))。

ミューチュアル・ファンドの場合、この計算はかかる申出の後に計算された(next computed)ものである必要がありますが、ユニット・インベストメント・トラストには例外が認められています。

すなわち、ユニット・インベストメント・トラストの持分を流通市場において売却又は再購入するにあたっては、以下の条件を満たした場合、前週の最後の営業日に決定した価格に基づいて翌週に売買を行うというアレンジ許されます。
  • ユニット・インベストメント・トラストがRule 14a-3(b)で定める適格信託証券(eligible trust securities)に投資する事業のみを行うこと
  • 当該売却又は再購入がなされた日にスポンサーが適格評価人から(i)再購入の場合、現在のビッドの価格が前週の最後の営業日に計算された募集側の評価よりも高くない、(ii)再売買の場合、前週の最後の営業日に計算された募集側の評価が現在の募集価格よりも0.5パーセント以上高くない、との意見を受領したこと
その他については基本的にミューチュアル・ファンドと同じです。

(2) コンプライアンス

ミューチュアル・ファンドのコンプライアンスについては、前にまとめましたが、基本的に同じルールがユニット・インベストメント・トラストにも妥当します。

ただし、ユニット・インベストメント・トラストの場合、主たる引受人又は預託者がファンドの方針及び手続き並びにチーフ・コンプライアンス・オフィサーを承認し、年次報告書を受領し、かつチーフ・コンプライアンス・オフィサーの解任を承認する必要があります(Rule 38a-1(b))。

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ユニット・インベストメント・トラストは、一般に、以下のようにして組成されます。
  1. スポンサー/委託者(depositor)が、ユニット・インベストメント・トラストの組成目的でポートフォリオ証券となるべき有価証券を集める
  2. 評価者が、預託日の前日のビジネスアワー終了時に、自らが有価証券の評価をしたこと及び目論見書に記載され募集価格の計算に使われた価格(valuation)が正確であることを証明する。
  3. スポンサー/委託者は、預託日に、当該有価証券(購入完了前であれば、有価証券購入契約)を、ポートフォリオ証券に関連する保険証書又は信用状とともに預託する
  4. スポンサー/委託者は、ユニット・インベストメント・トラストの持分を表象する証券を受領する。
公募については、以下のように行われます。
  1. 預託の前に、スポンサー/委託者は引受人のシンジケートを募り、彼らに仮目論見書(preliminary prospectus or "red herring")を提供する。
  2. 引受人は仮目論見書を使って、組成されるシリーズの需要を確認する。
  3. 十分な需要があると判断された場合、スポンサー/委託者は、当該シリーズの募集・販売についての登録届出書の効力発生を早め、持分の販売を開始する。
上記3の時点で、引受人間の契約が締結され、各引受人が特定の数の持分を販売することが義務付けられます。

ユニット・インベストメント・トラストは、このように、ファンド組成時にスポンサー/委託者がポートフォリオ証券を預託して組成され、その後にポートフォリオ証券を変更できる場合というのは非常に限定されています。

これは、取締役会を持たないというユニット・インベストメント・トラストの特性によるものです。

ミューチュアル・ファンドと比べると、以下のような構造になっています

(ミューチュアル・ファンド)
積極的な投資活動
→監視のための取締役会がある

(ユニット・インベストメント・トラスト)
投資活動はしない
→監視のための取締役会がない

ポートフォリオ証券の購入又は売却に対するSECの姿勢は、上記趣旨に照らして厳格ではあるものの、投資裁量の行使といえないような一定の行為については、ノーアクションレターによって資産運用にあたらないとしています。

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今回は、ユニット・インベストメント・トラストも継続開示義務についてです。ミューチュアル・ファンドの継続開示についてはこちらこちらを参照。

投資会社法Section 30が投資会社の継続開示義務を定めていますが、ユニット・インベストメント・トラストについては投資会社法Rule 30a-1に規定があります。

ユニット・インベストメント・トラストは、年に一度、Form N-SARの様式により、年次報告書を提出する必要があります(ミューチュアル・ファンドは半期に一度)。

ミューチュアル・ファンドの場合、すべてのファンドが持分保有者に対する報告義務を負いますが(Rule 30e-1)、ユニット・インベストメント・トラストは、すべてのファンドが報告義務を負うわけではありません。

すなわち、Rule 30e-2は、ユニット・インベストメント・トラストの資産が、一つのマネジメント・カンパニー(ミューチュアル・ファンドなど。詳しくはこちらを参照。)が発行する有価証券にのみ投資する場合、持分保有者に対して半期に一度以上、マネジメント・カンパニーの報告書に含まれる財務諸表その他の情報を記載したレポートを提供することを義務付けています。

他方、その他のユニット・インベストメント・トラストは報告書の提供義務を負いません。

ただし、実務上、ユニット・インベストメント・トラストの受託者は持分保有者に対して年次報告書を提供するのが一般的のようです。
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