Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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カテゴリ:ミューチュアル・ファンド

ミューチュアル・ファンドがその持分を販売、解約又は買取する場合、原則として、「現在の純資産額」(current net asset value)に基づく価格で行うことが求められます(投資会社法Rule 22c-1(a))。

「現在の純資産額」の計算頻度は投資会社法Rule 22c-1(b)が規定しており、原則として、月~金の1日1回以上、取締役会の定めた時間に計算されます。

「現在の純資産額」の計算方法はRule 2a-4に規定があります。原則として、ポートフォリオ証券のマーケットクオテーションがすぐに利用可能(readily available)なときは現在の市場価格(current market value)を使い、すぐに利用可能ではないときは、誠実にファンドの取締役会によって決定された公正価格(fair value)を使用することが求められます。

投資会社法Rule 38a-1では、コンプライアンス・プログラムの採用が求められているのですが、その中では、ファンドが公正価格の使用を必要とする状況を監視する指針及び手続きを定めること、特定のポートフォリオ証券についていつマーケット・クオテーションが信頼できないものとなるかを決定する基準を設定すること、現在のポートフォリオ証券の公正価格を決定する方法を定めること、そして定期的に適切さと正確性を見直し、必要な調整を行うことが必要と考えられています。

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投資会社法Section 18(f)は、ミューチュアル・ファンドは、シニア証券を発行することはできないと定めています。

シニア証券の定義はSection 18(g)にあり、社債、ノート等の負債を表象する証券又は資産の分配若しくは配当について優先権を持つ株式がこれに含まれます。

ただし、Section 18(f)との関係では、シニア証券の定義が狭められており、所定の要件を満たす優先株式は除外されています。

Section 18(f)は、ミューチュアル・ファンドによる銀行借入を明示的に許容していますが、当該銀行借入れについては、300%の資産カバレッジ(asset coverage)を維持することが求められています。

資産カバレッジは、投資会社の総資産から当該借入れ以外のすべての債務を控除した額を、当該借入れの合計額で除した割合をいいます。

いくつかの金融商品、先物取引(futures contracts)や先物取引に係るオプション取引(options on futures contracts)などは、Section 18の対象に該当します。

したがって、例えば、逆変動金利証券(inverse floating rate instruments)、アンカバードオプション(uncovered options)及びリバースレポ取引(reverse repurchase agreements)は、レバレッジの効果を持ちうる商品に含まれます。

ただし、SECは、カバー(cover) 又は分離(segragate) された場合、これらの金融商品はSection 18の規制が適用にならないとの立場を取っています。


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ミューチュアル・ファンドを含む投資会社のインベストメント・アドバイザーは、ポートフォリオ会社に対して議決権を行使する際には、ファンドの最大の利益に資するように行使することが求められます。

インベストメント・アドバイザーがポートフォリオ会社との間で取引がある場合などには、インベストメント・アドバイザーとファンドとの間に潜在的な利益相反関係が存在することになります。

投資顧問法Rule 206(4)-6では、インベストメント・アドバイザーがその顧客の有価証券に関して議決権を行使することは、原則として、fraudulent(詐欺的な)、deceptive(欺瞞的な)又はmanipulative(操作的な)ものであるとされています。

ただし、以下の要件を満たす場合は例外とされています。
(1) インベストメント・アドバイザーが議決権行使方針及び手続きを書面によって定めること
(2) これらが、議決権の行使に関し、インベストメント・アドバイザーとその顧客との間の重要な利益相反をどのように取り扱うかについて記載していること
(3) 方針及び手続きが、この利益相反について、インベストメント・アドバイザーが顧客の最善の利益となるように解消する方法を記載していること
(4) 顧客に対してどのように議決権を行使したかについての情報を取得する方法を開示すること、及び
(5) 議決権行使手続きを顧客に対して説明し、要請に応じて方針及び手続きを提供すること

ファンドも、議決権が適切に行使され、重要な利益相反が回避されることを確保するべく書面による議決権行使方針及び手続きを作成する必要があるとされています。

SECのリリースでは、単に「議決権行使が顧客の最善の利益となるように行使する」とだけ述べるのでは不十分とされています。

リリースによれば、有効な議決権行使方針及び手続きは、コーポレート・アクションを監視する責任を負う担当者を特定し、議決権行使を行う判断の基礎を記載し、議決権行使の決定をする責任を負う担当者及び適時に議決権行使がなされることを確実にすることに責任を負う者を特定するものである必要があります。

なお、インベストメント・アドバイザーが異なる顧客ごとに異なる方針及び手続きを採用することについては、禁止していないと解されています。

ファンドのインベストメント・アドバイザーは、議決権行使委員会を持ち、当該委員会が、利益相反の有無を判断し、もし利益相反があった場合には議決権行使サービス(proxy service)やファンドの取締役によって構成される委員会などの指示に従って議決権を行使することも多いようです。


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2.インベストメント・アドバイザーとの関係

ミューチュアル・ファンドの運営上、インベストメント・アドバイザーは非常に重要な役割を担います。その役割の重要性から、ファンドの運営又は方針に対して支配的な地位にあると見ることもできます。

法律を離れて事実をみれば、日本の投信と運用会社の関係と同じように、インベストメント・アドバイザーがスポンサーとなってファンドを作って自分で運営するというのがほとんどだと思います。

Section 17は、投資会社及びその関連者が関与する一定の取引を禁止しているしています。これは、内部者がミューチュアル・ファンドを使って、自らの利益を図り、ファンドの持分保有者を害することを防ぐことを目的としています。

この規定の適用範囲は文言上明確ではなく、実務的に適用するのには困難が伴うようです。

Section 17(a)は、関連者が本人として、ミューチュアル・ファンドから資産を購入し、又はミューチュアル・ファンドに対して資産を売却する場合を規定しています。

Section 17(d)は、関連者が本人として、ミューチュアル・ファンドと協調取引(joint transaction)を行う場合を規定しています。

Section 17(e)は、関連者が代理人又はブローカーとして、ミューチュアル・ファンドに対して又はミューチュアル・ファンドのために資産の売買を行った場合の報酬の受領についての規定しています。

SECのRuleでは例外措置が定められています。主要なものとしては、Rule 17a-7、Rule 17a-8、Rule 17a-9、Rule 17a-10、Rule 17e-1があります。

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利益相反に関連して、以下のような規制があります。

1.兼任関係の規制

投資会社法Section 10(b)は、取締役、役員もしくは従業員又はこれらの者の関連者と、通常使うブローカー(regular broker)、主たる引受人又は投資銀行の兼任を原則として禁止しています。ただし、取締役会の過半数が利害関係者以外の者で構成されている場合は、例外的にOKです。

また、Section 10(f)は、主たる引受人として行為する者が、ミューチュアルファンドの役員、取締役、アドバイザリーボードのメンバー、インベストメント・アドバイザー若しくは従業員である(又はこれらの者が関連者である)場合、引受け又は販売シンジケートが存在する間は、当該主たる引受人の有価証券を故意に取得してはならないとしています。

ただし、Rule 10f-3は所定の要件を満たす取引について例外を定めています。

ここでいう「関連者」については、Section 2(a)(3)に定義されています。

これには、取締役(directors)、役員(officers)、従業員(employees)、及びインベストメント・アドバイザーを含みます。この他、ファンドの議決権の5%以上を保有する者、及びファンドを直接又は間接に支配し、支配され又はファンドと共通の支配下にあるファンドもこれに該当します。

「支配」については、Section 2(a)(9)に定義されており、ファンドの方針の運営について支配的な影響力を行使しうる力を意味します。ただし、ファンドにおける機関としての地位のみに基づく影響力はこれに含まれません。

Section 2(a)(9)の下では、ファンドの議決権の25%以上の直接又は間接の所有は支配権ありとみられます。一方、25%以下は支配権なしとみなされます。


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