Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
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カテゴリ:公募ファンド

2.私募ファンド

私募ファンドの場合、流通市場の利用可能性は低いですが、基本的な枠組みは公募ファンドと近いといえます。

典型的なヘッジファンドの場合、上場株式に投資をするため、投資対象の流動性が高いといえます。ですので、3ヶ月に1回といったタイミングで解約することが認められます。

他方、バイアウト・ファンドなどは、投資対象の流動性がきわめて低いので、解約は基本的に認められません。

ただし、投資回収方法として、譲渡が認められる場合があります。もっとも、公募に該当しないように譲渡制限が付いているのが一般的なはずです。また、適格機関投資家等特例業務との関係でも譲渡制限が付いていたりします。

なお、アメリカではファンド持分をセカンダリーで買い集めるファンドというのが結構流行っているみたいです。体力さえあれば結構いいビジネスなんじゃないかと思います。日本でも流行る(or流行ってる)んでしょうかね。

3.まとめ

ファンドの類型により投資回収方法が異なるのですが、これは”※※ファンドだから☆☆じゃないとだめだ”というものではありません。投資家の要請に応えるべく、可能な範囲で広く投資回収を認めていくというのがあるべき姿勢です。

もちろんマーケット慣行に従ったほうが楽というのもあるかもしれませんが、不景気の中では”投資回収にも配慮しています”というのも売りにできるのではないかと思ったり。

弁護士的な観点から言えば、早い段階から議論に参加させてもらえれば、こういった提案も可能になるのでうれしいのですが、費用対効果との関係もあってそんなに簡単ではないですよね。議論に早い段階から参加させてもらえる弁護士に育っていきたいものです。


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ファンドからの投資回収方法についてです。今回は公募ファンドと私募ファンドを横断的に。

ファンドにはいろいろ種類があり、ファンドの種類によって投資回収の容易さが異なります。

1.公募ファンド

非上場の公募ファンドの場合、毎日解約可能とされているものが多いのではないかと思います。
日本だと投資信託、アメリカだとミューチュアル・ファンドがこれにあたります。

上場の公募ファンドの場合、解約は制限されていても証券取引所で譲渡することにより、投資回収が可能です。
例としては、REITやETFが挙げられます。

なぜ上場する公募ファンドと上場しない公募ファンドがあるのでしょうか。

一番メインの理由は、投資対象の流動性の違いです。

上場株式に投資するのであれば、取引所での処分が可能なので、日々の解約に対応することができます。

不動産に投資するものの場合、処分が容易ではないので解約対応は困難になります。ETFの投資対象は基本的に流動性の高いのですが、指数に連動させるETFの場合、指数に連動するように処分しないといけないため、細かい解約には対応できません。そのため、流通市場で投資回収ができるようにと上場することが選択されます。

金ETFなどは、金だけに投資しているので細かく売買できそうですが、保管・運搬のコストとかを考えると、やはり流動性は高くない方に分類されるんでしょうね。

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クローズド・エンド・ファンドは、前に書いたとおり、アメリカの公募ファンドの一類型です。

法律的な分析をした文献等はあまりなく、弁護士業界的にはマイナーっぽいです。が、商品自体はたくさんあります。NYSEのサイトを見てみたらあまりの多さにびっくりしました。

このクローズド・エンド・ファンドがどんな使われ方をしているかについて、少し調べてみました。法律的は話はしばらく後に出てくる予定ですが、今回は法律ではなく商品的な特色を簡単に。

まず、クローズド・エンド・ファンドは、公募ファンドなのでその点の特色があります。少額の投資をまとめてプロが運用する点など、日本の投資信託などに共通する特色があります。公募ファンドの特色はいろんなところで論じられているのでここでは割愛します。

では、他のアメリカ公募ファンドとはどういう違いがあるか。

名前のとおり、クローズド・エンド型である点に特色があります。

クローズド・エンド型のファンドは基本的に解約・買戻しはできません。したがって、投資家は流通市場で処分することにより、投資資金を回収することになります。

途中で解約・買戻しができないので、ファンドはそれに備える必要がありません。心置きなく流動性の低い資産に投資することができます。また、設定や解約・買戻しに関する費用分だけコストが少なくて済みます(ここは手数料をどのように設定するかにもよりますが)。

また、法的な面では、投資会社法18条での取り扱いが異なります。senior securitiesを発行できる点が特徴的です。

商品の特徴などについて詳しくはClosed-end Fund AssociationのサイトCFE Basicsのページで見れます(これが今回の本題)。

法的なところの詳細は後で書こうと思っていますが、今の進み方からすると半年後くらいになりそうです。

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アメリカのファンド法制について本を書こうかと思って、ロースクール中にせこせこと用意していたのですが、ローファームでの仕事が始まってしまいました。

ローファームでいろいろ学べそうなので、完成品になるのはだいぶ先になる見通しです。これまでのプロダクトを放置しておくのももったいないので、現状出来ているところを小分けにしてブログに書いていってみようかと思います。

ローファームでの研修をしているとブログのネタも結構に書けることも多くないので、一石二鳥といったところでしょうかね。

円高の中で、海外の公募ファンドに対する日本の投資家の注目も高まっているのではないかと思います。

東証で外国ETF市場ができたこともあり、ETFについて解説する書籍の数も増えてきているみたいですが、アメリカの公募ファンド(投資信託)について法的な側面を解説した文献はあまりなさそうです。

なので、どこかで誰かの役に立つと幸いです。

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(3) ETFは上場しているけど投資信託

投資信託として組成されているETFも上場していますが、これはETFの性格上ガバナンスの必要度が低いといえます。すなわち、現行のルール上はETFは 指標に連動することを目的とするものに限られており、ガバナンスの必要はかなり低いといえます。

アメリカにおいても、指数連動型のETFについては、Boardをもたないユニット・インベストメント・トラストの形態をとられるものもメジャーです。

3.会社形態は?

法人税法上、投資法人だけではなく会社全般に対して特別措置を認めることも、選択肢としてはありえたと思います。

アメリカの内国歳入法では、普通の会社でも適格要件を満たせば特別措置を認めています(というか特別のエンティティがないだけですが)。

にもかかわらず投資法人を使ったのは、投信法の枠内に留めたほうが投資を集められそうという判断があったのではないかと思います。

すなわち、日本ではこれまで公募ファンドとしては投資信託が主流であり、投信法による規制を受けてきました。この枠組から外してしまうと、投資家(主に日本)が不安に思うおそれがあります。ただの法人型ですよ、としたほうが個人投資家に売りやすいのは確かだろうと思います(繰り返しますがREITは個人投資家狙いの度合いが高い商品です。)。

また、会社を特別措置の対象にしてしまうと、これまでおとなしく税金を払ってきた不動産事業を営む会社をどうするかについても考えなければいけなくなります。当時そこまで問題を広げる必用はたぶんなかったので、投資法人でやろうということになったのだと思います。

4.まとめ

本当にこんな検討をしたかはわかりませんが、投資法人を選択したことについては合理性があったと思います。

ただし、導入後しばらくたった現状を踏まえて、再度検討した方が良いのではないかとは思っています。本当にガバナンスが足りているのか、逆に費用の割にあまり芳しくないのか、研究者であれば検証してみたいところです。


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