Biz Law Hack - 別館

半匿名ブログで過去に書いた法律記事をこちらに写しました。
Biz Law Hack本館はこちら。http://bizlaw.ldblog.jp/

カテゴリ:キャリード・インタレスト

続きです。

3.ファンド運営者は支払いを早くしたい

ファンド運営者がなるべく早く受け取りたいと思うのは明らかだと思いますが、理屈の観点からは、 Time value of moneyというのが一番シンプルな理由として挙げられます。

簡単に言うと、20億円を今日もらうのと、7年後にもらうのでは、Discount rate分だけ価値が違ってきます。

加えて、税金の観点からの視点も必要になりそうです。

すなわち、キャリード・インタレストに対する課税が譲渡所得ではなく、総合課税のほうに入ってくると、税率が一律ではなく累進課税となりますので(現在議論されています。)、ファンドの期間の終了間際にまとめて受け取ることにすると、高い税金を支払う結果になってしまいます。

4.投資家は支払いを遅くしたい

キャリード・インタレストの計算方法について、前回書きましたが、②の方法を選んだ場合、ファンドの純収益は、ファンドの期間が終わってみないとわかりません。

なので、ファンドの期間が終わるまではキャリード・インタレストは支払いたくないというのが、投資家としての立場となります。

前回の例でいえば、投資案件1と投資案件2でそれぞれ16億円、12億円を支払ってしまうと、最後に8億円をファンド運営者から取り返す必要が出てきてしまいます。


続きます。
    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

Private Investment Fundの授業のReading assignmentで出てきた事項に関連して、キャリード・インタレストの支払い方について、考えたことをまとめてみます。

1.キャリード・インタレストとは

投資案件が成功した場合に生じた収益の分配は、ファンドに対する出資金額による按分が基本ですが、ファンドの運営者(ジェネラル・パートナー、無限責任組合員、業務執行組合員など)に対しては、20%(相場)が支払われるのが通常です。

例えば、ファンドが保有する株式を売却して100億円の譲渡益が出た場合、20億円がファンド運営者に支払われ、残りの80億円を投資家(リミテッド・パートナー、有限責任組合員、業務執行組合員以外の組合員など)で按分します。

これをキャリード・インタレストといいます。

2.キャリード・インタレストの計算

20%の計算については、①投資案件ごとに計算する方法と、②ファンドとして全体の収益をベースに計算する方法があります。

例として、ファンドがその期間を終えるまで3つの投資案件を実行し、投資案件1で80億円の利益、投資案件2で60億円の利益、投資案件3で40億円の損失となった場合を考えてみます。

①の場合、ファンド運営者は、投資案件1で16億円(80億円の20%)、投資案件2で12億円、投資案件3で0円、合計で28億円のキャリード・インタレストを受け取ることになります。

②の場合、ファンドとしての純利益は100億円なので、ファンド運営者は20億円のキャリード・インタレストを受け取ることになります。

①を受け入れる投資はめったにいません。普通は②です。


続きます。
    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ